2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K14368
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Research Institution | Kurume Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 豊 久留米工業大学, 工学部, 教授 (50850210)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 片袖壁付RC柱 / せん断耐力 / 破壊性状 / 軸力比 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、大地震で共同住宅等のせん断破壊した袖壁付き鉄筋コンクリート柱の事例が散見されており、継続的に使用できないことが社会的な問題となった。既往の研究では部材の耐力評価を主目的としており、変形性能や損傷評価に関する研究は殆ど行われていない。そこで、本研究の目的は、骨組弾塑性解析を用いてブレース置換した部分に提案したせん断剛性モデルを組込んだ解析的手法と4種の袖壁による実験・実証手法の2つのアプローチを比較・検討することで、構造設計段階で評価が可能な「袖壁変形評価システム」の構築を遂行する。 このような学術的にも新規性の高い「袖壁変形評価システム」の構築により、構造物の安全性評価を強化した手法が提供でき、将来の強靭な公共施設・集合住宅の機能継続性を提供する基盤形成にも繋がると考えられる。本年度実施した実験は,共同住宅における妻側に見受けられる片側袖壁付きRC柱(以下,片袖壁付柱)を想定した基準試験体,袖壁の横補強筋および軸力をパラメーターとした試験体の計6体の曲げせん断実験を行った。次に,提案した解析モデルを用いて6体の解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,骨組弾塑性解析を用いてブレース置換した部分に提案したせん断剛性モデルを組込んだ解析的手法と4種の袖壁による実験・実証手法の2つのアプローチを比較・検討することで、構造設計段階で評価が可能な「袖壁変形評価システム」の構築を遂行することである。以上の目的を達成するために計画,実施された令和4年度の実験および解析では,以下に示す知見を得た。 ①片袖壁付柱の試験体6体「袖壁横筋量0.45,0.76,0.91%」および「軸力比0.1,0.3」を変数とした時のせん断耐力は,袖壁横筋量および軸力が増加するとともに大きくなる傾向を示した。②解析結果は概ね実験結果を追従しており解析モデルの適用性を確認できた。以上の結果から,未解明な部分が多い片袖壁付柱のせん断耐力を定量的に評価できたことから,おおむね本研究課題の進捗状況は予定通りに進んでいる。以上より,「おおむね順調に進展している。」と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度,令和6年度,令和7年度は当初の計画通り,以下に示す内容を実施する予定である。 <令和5年度>・両側袖壁の長さが不均等な試験体を用いた実験により、ひずみ・変形計測、ひび割れ進展状況と荷重との関係性などを定量的に解析する。次に,解析モデルを用いて荷重-変形の関係の追従性を比較検討し[実験アプローチ]での実測結果を充分に捉えていける可能性を証明し、検討用解析モデルの確立を達成する。 <令和6年度>・両側袖壁の長さが均等な試験体を用いた実験により、ひずみ・変形計測、ひび割れ進展状況と荷重との関係性などを定量的に解析する。次に,解析モデルを用いて荷重-変形の関係の追従性を比較検討し[実験アプローチ]での実測結果を充分に捉えていける可能性を証明し、検討用解析モデルの確立を達成する。 <令和7年度>・解析モデルの応用評価としてせん断低下率剛性G、圧縮ブレース残留ひずみを定量的に検討し、定量解析にも耐えうることも検討すると共に、袖壁位置の破壊性状へ及ぼす影響の検討も実施する。
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Causes of Carryover |
試験体を製作する際に相見積りの結果、安価な業者を選択したため,次年度繰越額が発生している。そこで,繰越額については建設資材の高騰しているため,試験体製作に補填する計画としている。
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Research Products
(2 results)