2022 Fiscal Year Research-status Report
Practical research on "Regenerative Design" for achieving the SDGs in existing urban areas
Project/Area Number |
22K14384
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 弘貴 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 特任助教 (40912944)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | リジェネラティブ / 社会生態系 / まちづくり / 既成市街地 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間に限らない多主体の協働を重視するリジェネラティブデザインの理論の定式化に向けて、東京大学連携研究機構不動産イノベーション研究センターにおいて、リジェネラティブ・シティリージョン・フォーラムを設立し、公共政策学や法学、システム工学、気候工学といった研究者や国土交通省、不動産事業者と連携して、超学際的な体制に基づいて、リジェネラティブデザインの具体的あり方を議論する研究会を実施した。研究会での議論に基づいて、雑誌『新都市』でサステナブルからリジェネラティブへと至る概念の変遷を整理した論考を発表し、萌芽的なリジェネラティブデザインの概念についての基礎的理解と日本での社会実装について次のように展望した。
本概念では、職能として、専門家含めたステークホルダー全員が、自らが制御・管理できる(と考える)システムの建築家から、生きて変化するエコシステムの庭師に転換する必要性が主張されている(Mang & Reed, 2020)。ここでいう庭師とは、エコシステムの複雑性や予測不可能性等を前提に、各々が適切な環境を整えることで、共進化の実現に携わる職能である。換言すれば、行政を含む多様な主体がまちづくりのステークホルダーであり、自然発生的な取り組みをいかに連関させていくことが問われていると言えるだろう。実際、欧州ではそうした政策への転換が起こりつつある。一方で、日本のまちづくりは連関すべき種と言える多様な市民・民間主体の取り組みが特徴であり(Sorensen & Funck, 2007)、そうした潮流を先導しうる可能性を有する。複数分野にまたがる先端的サービスやデータ連携に取り組むスーパーシティや、実行の脱炭素ドミノを掲げる脱炭素先行地域には、そうした個別の取り組み・主体を繋げていくことが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎的な概念整理を行い、その成果を発表し、かつ、継続的に議論するための体制を構築することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
基礎的な概念整理を踏まえて、継続的な研究会の開催を進めながら、リジェネラティブデザインの先行する欧米の事例の実態把握と実践的研究の遂行に向けた諸検討を行っていく。
|
Causes of Carryover |
今年度は文献整理等を通じた概念整理に注力したため、ヒアリング対象者全員にまでヒアリングに至らなかったため、次年度使用額が発生した。次年度(2023年度)に、そのための経費として使用する計画である。
|