2022 Fiscal Year Research-status Report
宇宙用2液推進系の小型化:液体推進剤噴射下のデトネーション燃焼挙動の解明
Project/Area Number |
22K14422
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
川崎 央 静岡大学, 工学部, 准教授 (20802242)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | デトネーション / 宇宙推進 / 化学推進 / ロケットエンジン / 小型推進機 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小型の軌道間輸送システムに適合的な小推力化学ロケットエンジンの実現のため、デトネーション燃焼の利用による2元推進剤式ロケットエンジンの小型化を志向する。デトネーションエンジンにおいては、理想的なデトネーションの大きな衝撃波Mach数により得られる全圧上昇が潜在的メリットとして期待されているものの、推進剤混合度の非一様性や推進剤充填の非一様性をはじめとする燃焼器内の種々の非理想性に起因して、実際には現在までのところこの潜在的メリットが現実のものとなっていない。そこで、デトネーション燃焼の適用により小型ロケットエンジン中の燃焼過程がどのようなものになるのか詳細な検討を行う。 本年度は、主として、小型デトネーションエンジンに適合的な、微小流量においても推進剤の混合状態を良好に保てる可能性のある、微細溝加工インジェクターについて検討を行った。本インジェクターは、微細な溝を多数並べた鋸歯状の部品と平面部品を、適切な公差の下で組み合わせることにより、微細で稠密なインジェクター構造を実現するものであり、実際のデトネーションエンジンにおける非理想性を、小型エンジンにおいても低減できる可能性がある。本インジェクターのエレメントを製作し、水流し試験を行うことで、本インジェクターに特有の物理過程について注意深く設計を行う必要があることが明らかになった。また、小型デトネーションエンジンの燃焼器壁の大きな曲率はデトネーション伝播に大きな影響を与える可能性があるが、関連したデトネーション波と希薄波の干渉現象についても知見が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、所属の異動があったことから、研究費の執行が一時中断されるとともに、研究環境にも変化が生じた。これによって物品調達は、当初予定していたものからやや遅れているものの、微細溝加工インジェクターの要素実験の実施を含め実験検討は順調に進展しており、総合的には概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請時計画に基づき、実験装置の製作および計測系の構築を行い、デトネーションエンジン内の燃焼過程について検討を行う。
|
Causes of Carryover |
今年度は、所属の異動があり、執行計画に変更が生じた。次年度使用額については、当初計画に基づいた執行を行う予定である。
|