2022 Fiscal Year Research-status Report
観察窓付き淀み点燃焼器を用いたハイブリッドロケット用低融点燃料の燃焼モデル確立
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22K14426
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
川端 洋 福岡大学, 工学部, 助教 (50881364)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 宇宙推進工学 / ハイブリッドロケット / 低融点燃料 / 燃料後退速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
観察窓付き燃焼器を設計・製作し、気密試験等で燃焼器の健全性を確認した。その後ABS樹脂を用いた燃焼実験を行い、燃焼室圧力や燃料後退速度等のパラメータ取得及び弁制御系が健全に動作することを確認した。パラフィン燃料を用いた燃焼実験を実施し、ハイブリッドロケット用低融点燃料の端面燃焼における燃料後退速度の測定に成功した。本実験により設計・製作した観察窓付き燃焼器が淀み点における燃焼の実現及び燃料後退速度等パラメータ取得に問題がないことを確認した。端面燃料におけるパラフィン燃料の燃料後退速度は酸化剤質量流束だけでなく燃焼室圧力にも依存することを確認した。重回帰分析の結果、酸化剤質量流束と比較して燃焼室圧力の方が燃料後退速度に与える影響が大きいことが分かった。一般的にハイブリッドロケット燃料の後退速度は燃焼室圧力には依存せず、酸化剤質量流束にのみ依存する。本研究では端面燃料の形態で燃焼させているため熱放射の影響が一般的なハイブリッドロケットと比較して大きく、燃焼室圧力にも依存したことが考えられる。約5気圧下におけるパラフィン燃料の燃焼火炎をハイスピードカメラを用いた撮影した。結果、燃料表面の溶融層から約0.8mmの液滴が発生し、燃焼火炎を通過後液滴周囲に火炎を伴う過程の撮影に成功した。これは従来理論的研究から提唱されていた現象であったが、光学的かつ明瞭に撮影した例はなく、本研究において初めて撮影に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度前半に実施予定だった燃焼実験環境の改修、燃焼器設計を実施できた。2022年度後半に予定していた燃焼器の耐圧・気密試験を実施及び健全性の確認ができた。また、酸化剤流量、燃焼室圧力をパラメータとした燃焼実験を予定通り実施できた。2023年度に実施予定であったハイスピードカメラによる燃焼火炎観察を先んじして実施することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
燃料表面に形成される溶融層の流動を排除し、低融点燃料の熱分解による燃料後退速度を実験によって測定する。燃料内部に熱電対を配置し、固体~溶融層~燃焼火炎までの温度を取得する。本結果を前年度の結果と比較することで溶融層の流動による後退速度への影響を定量的に評価する。
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Causes of Carryover |
半導体不足による海外製品の納期遅延により年度内の納期が不可となったため購入を見送ったため。本年度は従来予定していた物品および前年度購入が出来なかった物品の代替品の購入を検討している。
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Research Products
(1 results)