2023 Fiscal Year Research-status Report
浮体式洋上風力発電施設における長期係留健全性評価のための摩耗量推定手法の高度化
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22K14428
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武内 崇晃 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (80899980)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 係留鎖摩耗 / 長期摩耗推定 / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度研究結果から係留鎖の摩耗特性を正確に把握する必要があることが判明し,研究計画を一部変更して摩耗試験機を本年度新たに設計・製作した.これにより,摩耗量の荷重・摺動距離依存性の解明と,これまで実施できなかった実働荷重に近い条件での摩耗試験が可能となった.GradeR3材を用いて押付荷重30~100kN,周波数0.13~0.04Hzの範囲で摩耗試験を実施し,高荷重領域においてこれまで係留鎖摩耗試験で確認できなかったシビアマイルド摩耗遷移を確認するとともに,周波数および荷重が大きくなるほどシビアマイルド摩耗遷移の発現が早まることが分かった.摩耗量の荷重・周波数特性についてはまだ定量化できていないため,更なる検討を行う必要がある. また,IEA15MW風車を想定したUMain VolturnUS-S浮体を対象に,北海道石狩湾水深200mに設置することを想定して,OpenFASTを用いた浮体-係留系の動解析を実施した.環境条件については想定サイトのhindcastデータを統計解析することで決定し,終局限界状態および疲労限界状態について解析を行った.疲労限界状態については,係留鎖間に生じる摺動角と張力の変動範囲を取得し,長期摩耗FE解析を実施することで,摩耗および全面腐食による係留鎖の形状変化によって生じる応力集中を考慮した疲労被害度の推定を行った.応力ベースの疲労評価法に比べて張力ベースのものがかなり安全側の推定となることが分かったものの,腐食履歴や残留応力の変化を考慮できていない等問題があるため,今後更なる高度化を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
材料摩耗試験による係留鎖の摩耗特性の把握が必要となったものの,2023年度にて基礎試験は終了している.来年度追加試験や試験結果の解析等必要であるが,本年度の目標は概ね達成されている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き材料摩耗試験を申請時の研究計画と並行して実施し,摩耗量の荷重・周波数特性の定量化による推定手法の高度化を図る.また,取得した材料パラメタを用いたFE解析を実施し,長期にわたる摩耗量推定が可能な推定式の開発を目指す.
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Causes of Carryover |
係留鎖材料摩耗試験実施により研究計画に一部変更が生じたため2023年度に前倒し請求を行ったが,試験機制作費や材料加工費を一部押さえられたため未使用が生じた.この未使用額は2024年度に追加の摩耗試験及び成果発表の為に使用する予定である.
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