2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K14443
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
趙 宇 東京理科大学, 経営学部経営学科, 講師 (40879384)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不確実性 / フロンティアの推定法 / 効率性尺度 / データの確率的変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに開発した不確実性を考慮したフロンティアの構築方法に対して、データの確率的変動やモデルによる評価誤差など、さまざまな不確実性の状況を想定し、それに対応する一般的なフロンティアの推定モデルを提案した。さらに、効率性のみを確率変数としたDEAモデルと、効率性およびデータの観測誤差などによるノイズを確率変数としたDEAモデルを提案した。それぞれの提案モデルに関して、推定したフロンティアのファセットについて、いくつか統計的に望ましい性質を持つことを証明できた。特に、効率性のみを確率変数としたDEAモデルでは、観測データを増やすことによりフロンティアの推定結果が真のフロンティアに近づく性質を示すことができた。また、これらの提案モデルの有効性と妥当性をシミュレーション実験および実際のデータを用いて検証した。本研究の結果は、2023年9月4日から6日にかけてロンドンで開催されたDEAの国際会議「DEA45: International Conference on Data Envelopment Analysis」で発表し、プロシーディング論文として採択された。なお、提案手法を保険会社の事例に応用した論文は国際ジャーナルに投稿しており、現在査読を受けている。 効率性尺度に関する研究では、非線形関数を持つ効率性尺度の一般形を導出し、DEA型生産可能集合と効率性尺度の公理系との関係を検証した。これらの結果については、2024年3月6日に開催された日本オペレーションズ・リサーチ学会2024年春季研究発表会で発表を行った。関連した論文は国際ジャーナルに投稿しており、現在査読を受けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案手法に関して、モデルの一般形が導出でき、さらに推定したフロンティアのファセットについていくつか統計的に望ましい性質を持つことを証明できたため、当初の計画どおりに概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
DEAにおける効率性の評価では、データの確率的変動の扱い方が既存の推定手法の結果に大きく影響を与えることがある。頑健な効率性を評価するためには、データの確率的変動を正確に表現し、それをモデル構築に取り入れることが必要である。この研究課題を開始してから得られた知見を基に、決定木による確率分布の推定を用いてデータの確率的変動を正確に捉えるアプローチが有効であると考えている。この理論を完成させ、シミュレーション実験を行い、さらなる検証を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度には国際学会で2件の発表を行う予定であったが、2件目の発表に関してはシミュレーション実験に予想以上の時間がかかり、事例分析用のデータを集める時間が削られたため、提案手法を現実の事例分析に応用する研究が国際学会の応募締切までに完了しなかった。今年度は、事例分析の結果を国際学会で報告し、質疑応答を行う予定である。また、その結果を論文としてまとめて国際ジャーナルへ投稿する予定である。
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