2022 Fiscal Year Research-status Report
Constructing Situated Individual Decision Support System Based on Preference Data
Project/Area Number |
22K14444
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
家入 祐也 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 講師(任期付) (60910966)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 意思決定支援 / 選好 / シミュレーション / Internet of Things / IDS System |
Outline of Annual Research Achievements |
選好データを用いた個々人に適した意思決定支援(Individual Decision Support , IDS)は,個の多様化が進む現在において人間中心社会を実現させる.しかし,選好データは時間と共に変化するにもかかわらず,リアルタイムに収集することが難しい.そのため従来のIDSシステムではこの変化に対応する仕組みが検討されておらず,時間経過と共にIDSシステムの精度は悪化していた.本研究の目的は,選好データをリアルタイムに収集する手法によって状況依存型IDSシステムを構築し,時間経過に伴いIDSシステムの精度が悪化するという問題を解決することである.本目的を達成すべく,当該年度では,選好データを活用したIDSシステムのフレームワーク化を行い,論文として社会発信を行った.これによって,本研究課題で着目するIDSシステムの意義と重要性を示すことが出来た.そして,観光地を対象フィールドとし,Internet of Things (IoT)を活用して個々人の選好データを収集する仕組みを構築した.このように収集されたデータに基づいて,観光客の感興度の時間変化をリアルタイムに収集することが可能になった.これによって,観光客の感興度の時間変化という選好データを活用した状況依存型IDSシステムの構築の準備が完了した.さらに,観光地をフィールドとした実証の一環として,拡張現実(Augmented Reality)を用いた伝統文化体験の設計手法を明らかにした.このようなAR技術を活用した最新の観光コンテンツが,状況依存型IDSシステムに今後組み込まれることが期待される.また,商業地域を対象フィールドとした研究をスタートすべく,近隣商店街との関係構築をすすめた.そして,商業地域の実環境データを収集するための,データ収集基盤について議論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画は,以下の結果を統合して,当初の予定通り進捗しているといえる. 令和4年度には,人々の主観的情報を継続的に収集するための,参加型センシング機能を組み込んだ散策アプリケーションを開発し,商業地域での実証実験を予定していた.しかし,実験対象とするフィールドの選定において,商業地域のニーズ,立地条件,自治体との連携など考慮する項目が多岐にわたっていることから,予定よりも時間を要してしまい,商業地域での実証には遅れが生じてしまっている.現在では,実験対象とする商業地域は確定しており,自治体・商業地域との産官学連携体制による,商業地域での実証実験の準備を進めている.上記の遅れが当該年度の途中で予測できたため,令和5年度に実施予定であった,観光地での実証研究を前倒しで実施した.個々の観光客の選好データを収集するための仕組みを構築し,実証実験を行った.実験結果の分析や,データ収集システムの評価も完了しており,この点において,当初の予定よりも早く,観光地のための状況依存型IDSシステム構築の準備を整わせることが出来た.さらに,選好データを活用したIDSシステムの重要性について,ジャーナル論文を通じて国際的に社会発信することが出来た点についても,当初の予定よりも早く達成することが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,大きく以下の3点が挙げられる.一つ目としては,当該年度の活動によって,実証実験の対象となる商業地域を確定することが出来たので,今後は,人々の主観的情報を継続的に収集するための,参加型センシング機能を組み込んだ散策アプリケーションを開発し,商業地域での実証実験を実施する.本実証実験の実施に伴い,商業地域の実環境データを収集するために,センサデバイスをフィールドに設置し,商業地域における状況依存型IDSシステム構築の準備を整えることも求められる.二点目としては,観光地をフィールドとした研究について,当該年度に構築したデータ収集システムをもとに,観光地のための状況依存型IDSシステムの構築をすすめる.30名程度の参加者を募り,実際に観光地を散策してもらい,リアルタイムで収集されたデータをもとに,状況依存型IDSシステムによって観光客への意思決定支援を行い,その評価を試みる.三点目としては,当該年度の研究成果を論文としてまとめ,社会発信を行う.特に,個々の観光客の選好データを収集するための仕組みを用いた実証実験結果の分析やその評価について成果をまとめ,国内論文誌と国際会議への投稿を計画している.
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