2023 Fiscal Year Research-status Report
ポストコロナにおける都市動態マネジメントのデータ駆動型人工社会アプローチ
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22K14445
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
永井 秀幸 宮城大学, 事業構想学群, 准教授 (00839417)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 社会調査 / 位置情報 / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、まずは研究協力者との連携のもと、モデル化・シミュレーションの対象とする都市の絞り込みと選択を行い、そして選択された新潟県加茂市と協力し、その都市特有の社会課題の洗い出しや課題解決のための施策検討にむけ、自治体職員や地域の事業者の代表、住民へのヒアリング調査、課題抽出ワークショップなどを実施するとともに、地域住民を対象としたアンケート調査の事前準備として、調査の実施スケジュール・実施方法の検討、および住民調査の内容について検討を行なった。また、国勢調査データやパーソントリップ調査データ、モバイル位置情報に基づく短期的人流データなどを調査・分析し、地域住民の日常的な行動の状況を確認した。そして、これらと並行するかたちで、当初初年度に予定していた、合成人口データを用いたリアル指向のエージェントベース都市動態モデルの開発に着手し、地域住民の日常的な行動の空間的・明示的な再現を試行した。 その結果、来年度の本格的なシミュレーションおよび都市マネジメント施策の探索に向け、必要となるデータや技術要素の洗い出しや、効果的な手順の検討を進めることができた。 加えて、都市環境の改善のためには交通と緊密に統合・協力した交通結節点周辺地域における活動の活性化が必要であるとの前年度の研究成果に基づき、対象都市での社会活動に含まれることも想定される対面的なコミュニケーションと感染症との関係に着目し、オフィスにおける会議の参加人数を制限するとともに会議時間を短縮することが、感染リスクを軽減する有効な対策であることを確認するとともに、職場における感染リスクの定量的評価を行い、その成果を国際学術会議にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、モデル化・シミュレーションの対象とする都市を新潟県加茂市に決定し、官学の協力体制のもと、自治体職員や地域の事業者の代表、住民へのヒアリング調査、課題抽出ワークショップなどを実施するとともに、地域住民の日常的な行動に関するデータを調査・分析した。そして、それらの知見に基づき、合成人口データを用いたリアル指向のエージェントベース都市動態モデルの開発に着手し、地域住民の日常的な行動の空間的・明示的な再現を試行した。 その結果、来年度の本格的なシミュレーションおよび都市マネジメント施策の探索に向け、必要となるデータや技術要素の洗い出しや、効果的な手順の検討を進めることができた。さらに、対面的なコミュニケーションと感染症との関係に着目した、生活者の自律的行動に基づく生活空間のモデリングに関する新たな知見を得ることもできた。こうした理由から、当初の研究課題・計画からコロナ禍の正負両面の影響による多少の軌道修正はあるものの、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、合成人口データを用いたリアル指向のエージェントベース都市動態モデルの開発に着手し、地域住民の日常的な行動の空間的・明示的な再現を試行するとともに、必要となるデータや技術要素の洗い出しや、効果的な手順の検討を進めることができたことから、研究最終年度となる来年度は、本格的なシミュレーションおよび都市マネジメント施策の探索に向け、住民の生活上の意思決定の理論と合成人口データを用いた都市空間状態モデルとの統合に基づく、リアル指向のエージェントベース都市動態モデルの開発を推進する。さらに、人工知能技術を応用してモデルパラメータの最適化を適用し、併せてモデルの性能評価を行うことで、モデルによる実際の都市動態の再現性能を向上させる。そして、モデルを用いたシミュレーション実験により、長期間の都市動態変化を予測するとともに、持続可能な発展を目的とした都市マネジメント施策シナリオを幅広く試行し、長期的な効果とリスクとを比較評価しながら、この目的の達成に効果的な施策を探索する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大に起因して初年度に生じた次年度使用額がほぼ持ち越されるかたちで、本年度も次年度使用額が生じました。この次年度使用額は翌年度分として請求した助成金と合わせて、主に想定外の円安により当初の計画以上の費用が必要となる国際会議への参加に使用する計画です。
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