2022 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of safety operation condition of hydrogen storage system using metal hydride focused on agglomeration
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22K14449
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
奥村 真彦 仙台高等専門学校, 総合工学科, 助教 (30756169)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 水素吸蔵合金 / 粉体 / 凝集 / 水素貯蔵 / CT / ナノインデンテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
可逆的に水素と結合可能な水素吸蔵合金を用いると、高体積密度に水素を貯蔵する水素貯蔵装置が実現できる。しかしながら、合金は蓄えた水素の量に比例して膨張し、その容器の変形を招く。容器の変形は水素の漏出にもつながりうるため、合金を用いた貯蔵システムを構築する場合は、合金粒子群が個々の膨張を経て容器に力を及ぼすまでのプロセスを理解し、その理解に基づく対策を講じることが必須である。 既往の研究において、強い力を受けた容器の内部では合金粒子が凝集した塊が確認されるとの報告がある。このことから、申請者は充填層が容器に及ぼす力に対しこの凝集した塊の形成が影響を及ぼすものと考えている。そこで、初年度となる令和4年度の1年間は、合金粒子が凝集に至る条件について検討した。具体的には、ふるい分けによって粒度を揃えたLaNi(5)の粒子群について、未反応のものと水素を3~10回程度繰り返し吸蔵放出させたものを試料とし、それらを圧縮成型用の治具および万能試験機を用いて単軸圧縮し、被圧縮挙動と得られた成型体の様子から、合金粒子群の凝集特性を検討した。この結果、圧縮操作を受ける時点での粒径が同程度であっても、吸蔵放出を繰り返した回数が多い試料ほどより低い圧力で成形されることがわかった。 また、合金粒子の被圧縮特性は合金粒子そのものの機械的特性に影響を受けるものと考え、合金粒子のようにミクロンオーダーの粒径を対象とした機械的特性の評価に適しているナノインデンテーション試験によって、合金粒子の機械的特性を評価した。同試験によって評価した未反応の試料の機械的特性は既往の研究と整合するものであり、同試験の適用可能性を確認できた。また、未反応の試料と比較して、水素吸蔵放出操作後の試料はより低い弾性係数およびナノインデンテーション硬さを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にあるとおり、今年度は水素吸蔵合金粒子の単軸圧縮操作による凝集挙動の評価とそれに影響を及ぼすであろう合金粒子そのものの機械的特性の評価に取り組んでいる。当初の研究計画においては、初年度に合金粒子の凝集挙動を評価することとなっていた。試料のうち最も吸蔵放出を繰り返したものの繰り返し吸蔵放出操作回数が10回程度といささか不足はあるものの、その範囲であっても被圧縮挙動の変化はみられたため、一定の成果を得たものと考えている。機械的特性の評価はこの被圧縮挙動に影響を及ぼす因子のひとつとして取り組んでおり、こちらでも水素吸蔵放出処理が機械的特性に及ぼす影響を定量的に評価できているため、一定の成果が上がっている。以上のことから、令和4年度は十分な研究成果が得られており、研究の進捗状況としてもおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に行った水素吸蔵合金粒子の単軸圧縮操作による凝集挙動の評価について、令和5年度中にさらなる検討を実施する。LaNi(5)に対し水素吸蔵放出処理を繰り返した試料について、今年度は繰り返し回数の条件が3条件となっており、最大の繰り返し回数も10回程度であった。令和5年度ではこの条件数を5条件程度とし、繰り返し回数が100回程度に至る試料も調製して、凝集挙動をより詳細に明らかにしたいと考えている。 令和5年度からは、X線コンピュータ断層撮影法(XCT)を用いた水素吸蔵合金充填層内における合金粒子の凝集プロセスの評価にむけた準備にも着手する予定である。XCTを用いて粒子の形状が捉えられる程度の分解能で3次元情報を取得するためには、原則として対象の直径を十分に小さくする必要がある。この場合、試料も少量となり、前処理や水素吸蔵量の評価などについて、予備実験による検討が必要となることから、令和6年度での撮像実施を目指し、検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
今年度実施した実験についてはある程度の結果を得ることができ、おおむね順調な進展をみせたと判断してはいるものの、計画のうえでは一部実験についてより一層のデータを取得する予定であった。今回生じた次年度使用額は、そのようなデータ取得のために使うことを想定していた分の予算であり、今後の研究の推進方策で述べたとおり令和5年度においてこの予算を用いた実験を行う予定である。
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Research Products
(3 results)