2022 Fiscal Year Research-status Report
都道府県管理河川の洪水予測に向けた時系列解析による水位予測手法の分析
Project/Area Number |
22K14456
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小山 直紀 中央大学, 研究開発機構, 機構助教 (90907510)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 水位予測手法 / 洪水対策 / 時系列解析 / 中小河川 / 統計モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、時系列解析を用いることで限られた水位データ、降雨データ、水位と降雨データのハイブリッドデータから洪水時の水位予測を可能とする手法を開発し、その精度を分析することで、都道府県管理河川における新たな洪水予測手法として確立することを目指すものである。 今年度は研究方法として設定したStep①~④のうちStep①~②を実施予定であったが、Step③についても一部着手することができた。 【Step①】ヒアリング調査による都道府県管理河川水位情報のオープンデータセットの構築:一元化されていない都道府県管理の河川水位情報について一部都道府県においてヒアリングを実施し、基本データを収集をした。 【Step②】時系列解析の有用性の検証:既往の物理モデルと時系列解析による洪水予測精度について検証した。その結果、既往の物理モデルでは予測降雨に精度が依存するが、流域面積の小さい都市河川等においては予測降雨の精度はばらつきが大きい。そのため、安定的な予測を行うためには、観測値のみを使用する時系列解析の方が優位であることを示すことができた。 【Step③】時系列解析による洪水時水位予測手法の開発と分析:本予測手法の精度向上を試み、誤差分散不均一性を取り入れたモデルを開発した。現行モデルでは誤差項をホワイトノイズとして与えていたが、観測水位と解析水位の偏差より水位の上昇時に偏差が大きくなる。そこで、誤差分散不均一性を取り入れた手法を適用した結果、予測精度を向上することができた。 【Step④】都道府県管理河川への適用による精度検証の実施:都市河川である渋谷川流域において予測精度の検証を実施した。都市河川で物理モデルを使用する場合は、マンホールや管渠等の膨大なデータを計算条件に組み込む必要があるが、時系列解析を用いることによって、その過程を経ずして精度の高い予測が行えることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた【Step①】については、今後、さらにデータ収集域を広げるための継続的なヒアリングが必要であると認識し、7割程度の進捗と評価した。【Step②】については一級河川に加えて都市河川についても検証することでその有用性を示すことができたことから目的を達成した。【Step④】では都市河川の評価を終えたことから3割程度の進捗と評価した。この他、次年度以降に取り組む予定であった【Step③】にも一部着手できたことから、当該評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
【Step①】ヒアリング調査による都道府県管理河川水位情報のオープンデータセットの構築:引き続き都道府県にヒアリング調査を行い、各都道府県において点在する水位データの一元化を目指す。 【Step③】時系列解析による洪水時水位予測手法の開発と分析:都市流域だけでなく、山地流域等の様々な特性をもつ流域を対象として、水位や降雨、水位と降雨のハイブリッドデータによる本手法の開発及び精度検証を継続して推進する。 【Step④】都道府県管理河川への適用による精度検証の実施:流域特性に応じた当該モデルの有用性を示すため、さらに事例を増やして精度検証を進める。
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Research Products
(8 results)