2022 Fiscal Year Research-status Report
hcp金属における粒界原子構造と溶質拡散挙動の第一原理計算
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22K14465
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
設樂 一希 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 研究員 (40756805)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / 原子拡散 / イオン伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
Tiは高比強度,高い生体親和性を有しており,航空機用部材や医療機器などに利用されている.高強度化のために他の元素と合金化がなされているが,酸素や窒素などの格子間固溶する軽元素は脆化を招くとして混入が制限されてきた.しかしながら昨今,粉末冶金法によりこれらの酸素や窒素を均一固溶させることで,高強度・高延性を両立さできることが報告されている.一方,金属中の微量軽元素は実験では検出,分析が困難であることが多く,本プロセスの設計においては軽元素のTi格子内や界面での拡散挙動の理解が望まれている.本研究では,粉末冶金プロセスの設計に必要不可欠なこれらの軽元素の拡散挙動を第一原理計算により原子レベルで明らかにし,優れた機械特性を有する軽元素固溶型Ti合金の設計指針を得ることを目的とする. 本年度は軽元素の拡散挙動について調査を実施した.得られた拡散の障壁エネルギーは実験報告値と対応しており,一例として,固溶酸素は八面体孔サイトから,六面体孔もしくはNon-basal crowdionサイトを経由して長距離拡散することを明らかにした.他の格子間元素についても同様の解析を行い,三次元的な八面体孔-六面体孔サイトの拡散の他,一部の元素では一次元・二次元的な異方性を示す拡散経路が得られた.これらの経路について電子状態の比較を行った結果,遷移状態でのTiと固溶原子との電子の授受が活性化エネルギーに大きく影響することを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結果の一例として,軽元素のうち酸素の拡散挙動について述べる.得られた酸素の安定および準安定サイトとその形成エネルギーを基に拡散経路を構築し,遷移エネルギーを算出した.最も低い遷移エネルギーは2.0 eVであり,この値は実験報告値とよく一致する.固溶酸素は八面体孔サイトから,六面体孔もしくはNon-basal crowdionサイトを経由して長距離拡散することを明らかにした.他の格子間元素についても同様の解析を行い,各々の長距離拡散経路を得た.三次元的な八面体孔-六面体孔サイトの拡散の他,一部の元素では一次元・二次元的な異方性を示す拡散経路が得られた.これらの経路について電子状態の比較を行った結果,遷移状態でのTiと固溶原子との電子の授受が活性化エネルギーに大きく影響することを示した.以上のように,当初計画通りバルク中の軽元素の拡散について原子レベルでの知見を獲得できているため,「順調に進展している」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
第一原理計算を用いて,α-Ti結晶構造中での軽元素の安定サイトおよび拡散メカニズムを明らかにした.遷移状態でのTiと固溶原子との電子の授受が拡散の活性化エネルギーに大きく影響することを明らかにした.来年度は,界面構造の計算を行い,界面構造の決定を行い,その後,活性化エネルギーの変化要因に基づき,界面構造における軽元素拡散のメカニズムについて調査する.
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Causes of Carryover |
年央に予定していた計算機の導入に関して,半導体の不足や新規CPUリリースの遅れから導入を次年度に持ち越した.計算機導入の遅れによる計算資源の不足は,大型計算機センターの利用により補った.また,新規CPU計算機については次年度年央までに導入予定である.
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