2023 Fiscal Year Annual Research Report
積層薄膜を用いた接合界面における分解反応の解明と保護層導入効果の検証
Project/Area Number |
22K14470
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安原 颯 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (20880032)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リチウムイオン電池 / 固体イオン伝導体 / 接合界面 / エピタキシャル薄膜 / 界面保護層 |
Outline of Annual Research Achievements |
非常に高い安全性と優れた充放電特性を兼ね備えた次世代の二次電池として、電池を構成する主要部の電極材料と電解質が大気下にて安定な酸化物で構成される全固体リチウムイオン二次電池の実現が切望されている。実現への課題は電極と固体電解質との界面にあり、早急に接合界面について実験的に評価する手法の構築が必須である。そこで、本研究では高品質単結晶エピタキシャル薄膜を用いて正極-負極接合界面の積層構造を作製して評価することにより、「1. 接合界面での現象の理解」と、「2. 界面保護層導入による効果の検証」に取り組んだ。 初年度は正極活物質と負極活物質を積層させた際に生じる界面反応について評価した。正極活物質である LiCoO2と負極活物質であるNb2O5のエピタキシャル薄膜を積層させた薄膜試料を評価した結果、界面にLiNbO3が生成していることを示唆する結果を得た。この結果より、界面での分解反応はリチウムイオンの拡散に起因して生じていることが判明した。2年目は分解反応を抑制しうる適切な界面保護層材料の探索を行なった。α-LiAlO2に着目し、実験と計算の両面から本材料の物性を評価した。本研究では、溶融ターゲットを用いることでα-LiAlO2単結晶薄膜を作製できることを見出した。作製した薄膜を電極かつ物質と固体電解質との界面に導入した試料を作製し、評価を行った。主要な電極材料であるLiCoO2と同様の結晶構造を有するα-LiAlO2について、界面保護層としての有用性を示唆する結果を得た。
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