2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K14472
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松井 直喜 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (60881878)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒドリドイオン導電体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、優れたイオン導電性を示す新たなヒドリドイオン導電体の開発に向けて、構造類似性に基づく材料探索に取り組んだ。他のアニオン導電体で知られる骨格構造に着目し、同様骨格に基づく水素化物の合成を行い、高いヒドリドイオン導電性を示す材料を確認することが出来た。さらに、 構造中の空隙をアニオンが無秩序分布可能な高対称構造の指針のもと、多成分系化合物における新物質の存在を明らかにした。今後構造-物性の相関を明らかにする。 これまで、多様な結晶構造群の内、アニオン導電性を示す骨格構造はペロブスカイト型や蛍石型など特定の骨格が主な興味の対象とされてきた。本研究ではこのような既知骨格に基づく第一原理計算を援用した物性スクリーニングと、新たな構造群への展開を指向した構造マップの作製に取り組んだ。第一原理Nudged Elastic Band法により、ヒドリドイオンの拡散障壁の低い有望な構造・組成を同定することが出来た。ヒドリドイオン導電に適した骨格構造を系統的に調べる目的で、既知構造群の配位環境に基づく非類似度の定義と、非類似度に基づく構造マップ作製に取り組んだ。多次元の非類似度を二次元空間中に次元削減した結果、同一構造のクラスター形成および類似構造クラスター同士が近接した分布であることが確かめられた。構造の非類似度の次元削減空間が構造を分類する上で有用な特徴量空間であることが示された。この構造マップを用いた高いヒドリドイオン導電性骨格の提案に今後取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、構造類似性に基づく材料探索により、様々なヒドリドイオン導電体の存在を示すことが出来た。第一原理計算に基づくヒドリドイオン導電性のスクリーニングに取り組み、有望な構造・組成を同定することが出来た。アニオン導電に有望な骨格構造と類似する結晶構造の探索を行うために、構造の非類似度尺度の作製と構造マップの作製に取り組み、類似構造の推定を可能とする枠組みが完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に同定されたイオン導電性の高い構造を利用した、組成・構造最適化によりヒドリドイオン導電性の向上を目指す。さらに、構造マップに基づくヒドリドイオン導電率と結晶構造の体系化と、有望骨格の提案に取り組む。
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