2022 Fiscal Year Research-status Report
熱・電気伝導率の独立制御に向けた金属酸化物ナノ多孔体の細孔壁の精密制御
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22K14481
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松野 敬成 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (80907098)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 金属酸化物 / ナノ多孔体 / 鋳型法 / 熱電変換材料 / シリカナノ粒子 / シリカコロイド結晶 / 酸化インジウムスズ |
Outline of Annual Research Achievements |
熱電変換材料は熱から電気を直接回収でき、未利用エネルギーの活用手段として期待されているが、大気中で安定な酸化物系材料の実用に向けては特性の向上が必須である。材料へのナノ細孔の導入による熱伝導率の低減は熱電性能向上に向けた方法の一つとして知られているが、同時に生じる電気伝導率の低下が問題となる。これは結晶粒界でのキャリア散乱および高い空隙率による導電パスの減少が主な要因である。そこで本研究では、金属酸化物の熱伝導率を低減しつつ副次的な電気伝導率低下を抑制することを目的として細孔構造の精密制御を行う。金属酸化物ナノ多孔体を結晶成長させる、という新規なコンセプトに基づくアプローチにより結晶粒界の低減と細孔壁の厚さ、空隙率の制御を同時に実現することが期待でき、熱・電気伝導率測定によりナノ構造設計の有効性の実証を目指す。 本年度は、酸化インジウムスズ(ITO)についてナノ構造制御と熱伝導特性の評価を行った。ITOは金属酸化物の中でも比較的導電性が高く物性測定・比較検討が容易と考えられるため、本研究のコンセプトを実証するための組成として選定した。球状シリカナノ粒子が規則的に集積したナノ多孔体中でITOを形成させ、塩基処理によってシリカを選択的に除去することでITOナノ多孔体を得た。シリカナノ粒子径を変化させることでITOナノ多孔体の細孔径・細孔壁の厚さを制御した。得られた試料を放電プラズマ焼結(SPS)することで焼結体を得て、その熱伝導率を測定した。その結果、細孔壁の厚さが一定以下になると熱伝導率の低減が頭打ちになる傾向が観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細孔構造を制御して細孔壁の厚さを変化させたITOナノ多孔体を合成し、SPSで得られた多孔質な焼結体の熱伝導率測定を実施した。細孔壁の厚さと熱伝導率の相関について知見を得ることができており、概ね計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では合成したナノ多孔体や焼結体を結晶成長させることで、より高度な細孔構造制御を検討する。細孔径・細孔壁の厚さ・空隙率などを制御し、熱・電気伝導率を測定することでナノ構造と物性の相関について更なる知見の獲得を目指す。
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Causes of Carryover |
外部機関での試料焼結・測定を予定して予算計画立案したが、実際は共同研究を行ったことがあるNIMS森孝雄先生の装置を使用させていただき、当初見込んでいたよりも関係する細目(物品費・その他)の使用額が少額となった。 次年度以降では焼結・測定だけではなく合成した試料の詳細な構造解析も予定しており、そのための分析費用として使用する。
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Research Products
(2 results)