2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of numerical simulation scheme for optimization of molding conditions and material design of thermoplastic composites
Project/Area Number |
22K14489
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樋口 諒 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (00815946)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 熱可塑性複合材料 / 結晶性高分子 / フェーズフィールド法 / 均質化法 / 拡張有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、航空機等の構造部材適用を想定した結晶性熱可塑性樹脂とその炭素繊維強化樹脂(CFRP)を対象とし、成形条件が樹脂および熱可塑CFRPの微視的な組織形態(結晶化挙動)と巨視的な力学特性へ及ぼす影響を包括的に調査可能なマルチスケール・マルチフィジックス数値解析手法開発に取り組んでいる。提案手法の特徴は、熱伝導解析、フェーズフィールド(PF)解析、拡張有限要素法(XFEM)均質化解析を組み合わせることで、樹脂の微視的組織形態を介して成形条件から材料特性までを結び付ける点にある。 令和四年度においては、当初予定していた熱可塑性樹脂の結晶化PFモデル開発、ならびに得られた結晶構造の均質化解析手法開発が概ね完了した。具体的には、異なる等温過程での結晶構造についてPF解析にて予測し、得られた構造の均質化弾性解析を実施することで力学特性の予測までを達成した。得られた弾性特性は試験結果と定性的に一致している。さらに、令和五年度に実施予定であった熱可塑CFRPの結晶化MPFモデル開発にも着手しており、令和五年度中の完成を目指して開発を継続中である。令和五年度は熱可塑性樹脂、熱可塑CFRPともに結晶化モデルの完成、精度検証、高精度化を進める予定である。 該当研究の成果は国際誌2報に掲載済である他、国際学会4件、国内学会6件にて発表済みである。また、国際誌1報、国内誌1報への論文執筆を進めているほか、令和五年度も国内外の学会での発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画では、令和四年度は「結晶性熱可塑性樹脂の結晶化解析技術開発」を実施する予定であった。「当初の計画以上に進展」していると判断する根拠について以下に述べる。 令和四年度においては、当初予定していた熱可塑性樹脂の結晶化PFモデル開発、ならびに得られた結晶構造の均質化解析手法開発が概ね完了した。具体的には、異なる等温過程での結晶構造についてPF解析にて予測し、得られた構造の均質化弾性解析を実施することで力学特性の予測までを達成した。この過程で、令和五年度に予定していた熱可塑性樹脂の結晶相と非晶相の物性同定にも取り組み始めている。現時点で得られた弾性特性は試験結果と定性的に一致しており、今後のモデル改良や物性の詳細な同定により定量評価までを実現可能と考えている。さらに、令和五年度に実施予定であった熱可塑CFRPの結晶化MPFモデル開発にも着手しており、令和五年度中の完成を目指して開発を継続中である。令和五年度は熱可塑性樹脂、熱可塑CFRPともに結晶化モデルの完成、精度検証、高精度化を進める予定である。つまり、令和四年度の実施成果は令和五年度の実施内容の一部を含んでいる。 以上より、現段階での研究進捗状況としては、計画段階よりも前倒して進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和五年度は、まず令和四年度までに構築した熱可塑性樹脂の結晶化PFモデル、力学特性評価手法の改良、物性の詳細同定に取り組む。これにより、物性の定量評価の実現を目指す。さらに、既に着手している熱可塑CFRPの結晶化PFモデルの完成、熱可塑CFRPの力学特性予測の実現を目指す。さらに、現時点では開発ツールは弾性特性予測にとどまっているが、弾塑性モデルの構築、パラメータの同定を経て、塑性特性、強度特性の予測を目指したい。
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