2022 Fiscal Year Research-status Report
放射光X線マルチスケールCT観察に基づくセラミックス基複合材料の力学機能発現
Project/Area Number |
22K14494
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
大熊 学 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 研究員 (70838945)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | セラミックス基複合材料 / 放射光X線CT / 亀裂・欠陥 / 焼結 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は, SPring-8の放射光X線CT実験を年2回実施した. 設計・製作した小型引張試験機で引張試験中の段階的なセラミックス基複合材料(CMC)内部の亀裂進展のX線CTその場観察に成功した. 本実験では, 酸化物系CMC(Ox/Ox)であるアルミナを用いた. 1100℃で焼結した試験片は繊維とマトリックスの界面は用意に剥離しており, 破面から繊維が引き抜けている . 一方, 1200℃で焼結した試験片は母材と繊維が接着しており, 破面は全体的に平坦で個々の繊維というより繊維束単位での破壊が顕著であった. (1100℃の試験片よりも低強度で破断した.) 放射光X線CTの引張試験その場観察では, どのような箇所から破壊が進展するかを直接捉えることができた. これにより, 破壊機構の解明と高信頼性材料設計の手がかりを得た.また, 複合材料にも用いられるアルミナ顆粒の通電加圧焼結(SPS)の負荷加圧(30-50MPa)によって, どのように粉体充填後の粗大欠陥が除去されるかを放射光X線CTとFE-SEMにより調査した. SPS30MPa後には顆粒の三重線に沿った三角形の隙間から形成されたロッド状欠陥が観られたが, 50MPaでは分裂によって消滅した. SPS50MPa後も小さな複雑な気孔や潰れた楕円体の多孔質領域は残留した. SPS50MPaでは常圧焼結後に見られたような亀裂状欠陥は取り除くことができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SPring-8の放射光X線CTを用いて, 酸化物系セラミックス基複合材料の原料粉末の常圧焼結中の不均質な構造を3次元可視化することに成功した. これまでのSEM観察等では検知できない欠陥の不均一な分布を広い領域で観察する手法を確立できた. 本研究成果は, 国際学術誌に論文発表を行い, 招待講演も行った. また, 引張試験中の段階的なセラミックス基複合材料内部の亀裂進展の放射光X線CTデータも取得済みであり, 現在解析を進めているところである. 以上の理由により, おおむね順調に研究が進展していると考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度に取得したデータの解析を進め, モノリシックセラミックスや複合材料内部損傷機構と不均質構造の関連を解明する. また, 令和5年度も継続してSPring8で放射光X線CT実験を実施し, ナノスケールでの引張試験中の界面剥離現象を観察したいと考えている.
|
Causes of Carryover |
年度初めに予定されていた国内会議がコロナの影響で現地開催ではなくなったため旅費が大きく余ってしまった. 本年度は, 会議は基本的に現地で開催されるため, 十分に執行が可能である.
|