2023 Fiscal Year Research-status Report
放射光X線マルチスケールCT観察に基づくセラミックス基複合材料の力学機能発現
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22K14494
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
大熊 学 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究センター, 主任研究員 (70838945)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不均質構造 / き裂/欠陥 / セラミック積層体 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は, SPring-8の放射光X線CT実験を年2回実施した. 微構造の不均質性および欠陥変化の根底にある基本的なプロセスを理解するために, 最適化されていない条件下で, 積層セラミックス焼結体モデル材料の作製を行った.放射光X線CTでは, テープキャストで作製したアルミナ積層体の焼結中の微構造変化を観察し, 機械的信頼性に影響を及ぼすプロセスに起因した様々な欠陥を検出できた. またSEM観察を組み合わせることにより, 欠陥は単純な楕円形の空隙やクラックではなく, 複雑な多孔質構造をもつことが明らかとなった. これらの欠陥は製造プロセスの様々な段階で生じたことが分かった. 焼結の初期段階では空隙や亀裂は見られず, 不均質構造由来の速度差焼結によって, 特に層境界の界面において空隙や亀裂状欠陥が形成された. 多面体アルミナ結晶がフレーク状のシートに自己組織化する現象は, 制御された厚さの2Dマイクロシートの設計および製造に革新的な知見をもたらす. アルミナ粒子の独自の界面特性によって駆動される自己組織化プロセスでは, 均一な微構造と欠陥を最小限に抑えることができ, 多層セラミック複合材料の生産に革新をもたらすかもしれないことを提唱した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に学会発表および論文発表を実施できているため. 一部未発表の成果があるが, 現在, 論文投稿準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
現在, 実際のセラミックス基複合材料のミニコンポジットの解析を進めている. 画像解析においてはセグメンテーションに多大な時間を要するため, 機械学習を用いて効率化を図りたいと考えている.
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Causes of Carryover |
SPring-8の実験データを解析したところ, 追加での実験測定を加えることで, 新たな知見が得られる展望を得た. SPring-8の実験機会は年2回のため, 2024年度にもマシンタイムを申請することで, より深い議論を追加した論文の執筆を目指す. 主に, サンプルの加工費およびSPring-8でのマシンタイム使用料に充当する予定である.
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