2022 Fiscal Year Research-status Report
応力・ひずみ・水素拡散の分布解析に基づくプレス成形鋼板の水素脆化特性の解明
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22K14497
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
味戸 沙耶 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20903834)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高強度鉄鋼材料 / プレス成形 / 水素脆化 / 水素可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄鋼材料は高強度化が進められており、省資源・省エネルギー化に貢献している。しかし、高強度化にともない水素による破壊現象(水素脆化割れ)のリスクが高まることが問題である。そのため、高強度鉄鋼材料を実用化するためには、実用環境下における水素脆化特性の解明が必要である。自動車用高強度鋼板はプレス成形して用いられることが多く、成形により残留応力・塑性ひずみが不均一に導入され、それらの影響を受けて水素拡散挙動に分布が生じる。しかし、プレス成形鋼板の水素拡散挙動分布を計測する手法はなく、水素脆化特性の解明には至っていない。そこで本研究では、プレス成形鋼板へ適用可能な水素可視化技術を確立し、プレス成形鋼板の水素脆化特性の支配因子解明を目指している。 本年度は、プレス成形鋼板に適用可能な水素可視化膜の成膜法の確立に取り組んだ。その結果、エアブラシを用いることで、凹凸のある鋼板にも成膜できること、またその膜が鋼板を透過した水素と速やかに反応し色調が変化することを確認でき、水素可視化膜として機能することを明らかにした。また、これと並行して、水素拡散挙動解析の妥当性を検討するための応力負荷下での電気化学的水素透過挙動計測システムの確立に取り組んだ。応力負荷下で使用可能な小型水素透過セルを設計・製作し、試験の準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施を計画していた成膜法の検討を進めることができた。また、応力負荷下での水素透過試験の準備も整った。以上から、計画に沿っておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ひずみ分布のある鋼板を用いて水素可視化試験を行い、水素拡散挙動の分布の詳細を解析する。また、解析の妥当性について電気化学的水素透過試験を用いて精査する。その後、プレス成形鋼板について水素可視化試験を行い、FEMを用いた残留応力、ひずみ分布と水素拡散挙動との関係を明らかにし、プレス成形鋼板の水素脆化特性の支配因子を解明する。
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Causes of Carryover |
現在、現有設備を利用して電気化学測定を行っている。そのため、備品として計上していた物品の購入費が繰り越された。現有設備の適用可能性を判断し、必要であれば申請備品の導入に充てる。
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Research Products
(6 results)