2022 Fiscal Year Research-status Report
Application of Ultra-High-Resolution Real-Time Measurement system for Dissolved Ions to Fuel Cell Catalyst Development
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22K14506
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大井 梓 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (00803876)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 白金合金触媒 / 誘導結合プラズマ質量分析 / 溶解 / 耐久性 |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンニュートラルの早期実現には,稼働中に二酸化炭素を排出しない固体高分子形燃料電池(PEFC)の普及が必要不可欠である.PEFC普及に向けた課題は,高コストの要因である白金触媒の使用量低減である.したがって,白金の一部を安価な元素で代替した白金合金触媒の開発が喫緊の課題である.また,コストの低減とともに,PEFC稼働環境下における触媒の耐久性が強く求められている.本研究では,白金合金触媒の利用において問題となる耐久性の低下,すなわち触媒の溶解を評価する測定法を確立し,触媒の高耐久化に寄与する材料設計指針の提案を目指している. 触媒の溶解を評価する上での既存の課題は,その溶解量が極めて少なくそもそも検出することが困難な点にある.そこで本研究では,超高感度な溶液分析法である誘導結合質量プラズマ分析と溶液フローセルを組み合わせた測定系を構築することで,課題の解決に取り組む.本測定系を白金合金触媒の評価に適用することで,PEFC稼働環境下におけるナノレベルの触媒溶解検出を実現し,触媒の耐久性予測,及び触媒を高耐久化する材料因子の抽出が可能になると考えられる. 本年度は,有限要素法を用いた測定法のシミュレーションを実施し,測定に有効な溶液フローセルの構造を検討した.また,シミュレーションで得られたセル構造を実際に作製し,実測とシミュレーションで得られた結果に若干のかい離はあるものの,傾向はほぼ一致することを確認した.今後は,より高精度にシミュレーションが可能となるように設定条件を見直す.それと同時に,作製したセルと白金合金触媒を用いてその溶解量の評価にも着手する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーションにより測定に有効な溶液フローセル構造の予測ができるようになったため,セルの試作過程を大幅に省略できた.そのため,当初の予定より実際の測定に早く着手できる目処がついた.一方で,測定におけるノイズの低減が新たな課題として浮き彫りとなったが,研究はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレーションの高精度化が可能となるように,有限要素法におけるメッシュなどの設定条件を細かく見直す予定である.また,測定中のノイズを低減するために,その発生源と理由を検証して,測定系の最適化を試みる予定である.これらと同時に,構築した測定系を実際の白金合金触媒に適用し,触媒の高耐久化に寄与するPEFC稼働環境における触媒溶解量のデータを収集する.
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Research Products
(2 results)