2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of the Relationship between Titanium Electrodeposition and Coordination State of Titanium Complex Ions in High-Temperature Molten Salts
Project/Area Number |
22K14507
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
法川 勇太郎 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (80899237)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | チタン / 電析 / 溶融塩 / フッ化物-塩化物 / 電気めっき / 錯イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、構成するカチオンおよびアニオンの違いが、溶融塩中のチタン錯イオンの配位状態に与える影響とチタン電析との関係解明を目指している。この目標を達成するため、本研究では単一カチオンからなるフッ化物-塩化物混合溶融塩を使用している。2023年度には、LiF-LiCl-Li3TiF6、NaF-NaCl-Na3TiF6、KF-KCl-K3TiF6、CsF-CsCl-Cs3TiF6を用いてチタンの電析およびチタンイオンの電気化学挙動の解析を行った。その結果、LiF-LiCl > NaF-NaCl > KF-KCl > CsF-CsClの順でチタンの電析電位が卑となった。これはカチオンのイオン半径が大きくなるほど電析電位が卑になることを意味しており、カチオンのイオン半径が大きくなるにつれてカチオンとフッ化物イオンとのクーロン相互作用が弱くなり、チタン錯イオンのチタンイオンとフッ化物イオンとのクーロン相互作用が相対的に強くなったことが理由として考えられる。また、チタン電析においては、Li, Na, K系において、金属光沢をもつチタンが得られた、一方で、Cs系においては、粉末状のチタンが得られた。これは、チタン電析電位がCs系で最も卑であるため、Cs金属霧とチタンが共析してしまうのが原因と考えられた。さらに、フッ化物イオン濃度の影響を調べるために、LiCl-Li3TiF6溶融塩にLiFを加えることで、F/Ti比率を変えた浴でのチタン電析の初期的な検討を行った。またKF-KCl-K3TiF6およびLiF-LiCl-Li3TiF6の溶融状態でのラマン分光分析を行った。最終年度は、F/Ti比率による影響およびチタン電析とラマン分光分析の結果を合わせた検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、Li, Na, K, Csと予定していたすべてのカチオン種でのチタンの電析およびチタンイオンの電気化学挙動の解析を行うことができ、カチオンにより電析電位が異なることが確認できた。研究開始時に予想した通り、カチオンサイズが大きいほど電析電位が卑になる傾向が確認されている。またF/Ti比率を変更させたチタン電析の初期的な検討やLiF-LiCl-Li3TiF6およびKF-KCl-K3TiF6の溶融状態でのラマン分光測定も実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの研究で、カチオンの種類がチタン電析に与える影響を確認できた。そこで次年度からは、F/Ti比率を変化させたチタン電析の研究を進め、フッ化物イオンがチタン電析与える影響を確認する。さらに、様々なカチオン種、アニオン比率の溶融塩に対してラマン分光測定および解析を進め、チタン電析の結果とラマン分光測定の結果を組み合わせた検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
今年度はおおむね予定通りの使用であったが、初年度の未使用額が多かったため、一部次年度使用額が生じた。来年度は今年度とおおむね同様の使用計画を考えており、次年度使用額を含めたすべての助成金を使用する予定である。
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