2023 Fiscal Year Annual Research Report
遊星式スピンコータにおける基板上材料挙動の解明による高度な膜組織制御法の開発
Project/Area Number |
22K14515
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Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
徳丸 和樹 大分工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (80909523)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スピンコート / セラミックス薄膜 / 高粘度流体 / 流動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、,遊星式スピンコータによる新たな高粘度スラリー材料の薄膜成形・粒子制御技術の確立であった。最終年度は前年度に行ったアルミナによる実験を基に,40センチ大面積基板での製膜,板状チタン酸バリウム粒子を用いた粒子配向実験を行う予定であったが、板状チタン酸バリウム粒子が入手できなかったため、板状アルミナ粉末による配向実験を行った。その結果、想定通りに板状粒子の配向が確認でき、製膜後のアルミナ膜をXRDで観察したところ[006]面にのみアルミナが配向した膜が得られた。このことから、目標であった粒子制御技術についてはある程度達成できたと考えている。 また、前年度から引き続き高速度カメラによる材料流動解析も行った。当初の目標である、CFDを用いた解析までには至らなかったが、トレーサー粒子による流動解析と共に、2色インクを用いた流動解析も行うことにより、遊星式スピンコートによる膜厚ムラ低減機構について新たな知見が得られた。特に放射状の膜ムラであるストライエーションの抑制については遊星式スピンコートがかなり効果的であることが実験から示唆されていたが、流動解析によりストライエーション抑制の仕組みを理解することが可能となった。 当初は目標としていなかったが、本研究の成果をもとに、他研究所や企業から提供された材料による加工実験も進めることができ、当初のターゲットであった高粘度粒子分散材料を材料とする無機ELの効率化だけでなく、金属錯体などが配合された2液性有機系材料にも効果があり、遊星式スピンコートによって内部構造が均一に混合され、膜厚均一化と共に膜内部の均一化も行うことで性能向上に寄与できることが確認できた。本研究成果をもとにした特許の出願も行い、現在審査請求中である。
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