2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Novel Crystal Oriented Nano-porous WO3 Membrane for Green Hydrogen Purification
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22K14529
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
萩尾 健史 名古屋大学, 未来社会創造機構, 助教 (40808648)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水素分離 / 膜分離 / ナノポーラス六方晶酸化タングステン / 結晶配向 / 緻密化 / 分子ふるい |
Outline of Annual Research Achievements |
水素は、カーボンニュートラルの実現にとって重要な次世代を担うクリーンエネルギー資源であり、来る水素社会に向けてその分離・精製技術の高度化が求められている。本研究は、c面にナノ細孔をもつ六方晶WO3(ナノポーラスhWO3)の結晶配向した緻密膜を形成し、水分解から得たグリーン水素を分離・精製するナノポーラスhWO3分離膜を開発するとともに、この新規膜のガス透過・分離メカニズムを解明することを目的とした。 令和4年度(1年目)は支持体の表面改良や原料組成、合成環境の影響を調査し、ナノポーラスhWO3の配向した緻密膜をチューブ状支持体内壁に形成できる作製条件を検討した。支持体の表面改良時に表面にクラックが生じる問題が発生したが、ナノポーラスhWO3膜の合成にかかる原料組成や合成温度・時間の影響に関する傾向が確認できた。また、原料組成の違いで成長形態が異なることを利用し、繰り返し合成にて膜の緻密化を促進できることを見出し、多孔質チューブ内壁に緻密なナノポーラスhWO3膜を合成できた。さらに性能向上対策に向けて欠陥解析を進め、主だった欠陥として支持体欠陥由来の膜欠陥、初期の膜形成不全、結晶間間隙の残存、放射状成長結晶の脱離の存在が確認された。 令和5年度(2年目)は前年に調査した欠陥種への対策として、支持体表面改質、結晶成長起点の原料溶液中Na2WO4濃度調整による均質生成、多段階合成時の原料溶液交換後超音波印加強化による粒子間原料供給改善、多段階合成時の原料中Na2WO4濃度低減による結晶成長促進を行った。その結果、単成分ガス透過速度測定から、細孔を通るH2と欠陥を通る大型分子SF6の比(H2/SF6比)が約45まで増加し、緻密膜が得られたこと、カットオフ挙動から分子ふるいとして機能したことが確認できた。さらに混合ガスによる分離試験の結果、H2選択透過膜が得られたと確認された。
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