2023 Fiscal Year Annual Research Report
多段水熱炭素化・ヘテロ原子ドープ法によるバイオマス由来電極材料の創製
Project/Area Number |
22K14533
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中安 祐太 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (20827042)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水熱炭化 / 電極触媒 / 燃料電池 / バイオマス / 未利用資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、一段階目の水熱処理により鉄を含有する鉱山廃棄物の溶解を行い、二段階目の鉄イオン含有溶液を用いたもみ殻への水熱処理により、水熱炭化を行った。これにより鉄含有バイオマス前駆体を合成し、さらに窒素雰囲気下で窒素原料やテンプレート剤と混合して焼成することで、電極触媒の作製を行った。 結果として、TEMおよびSEM分析結果から、ヘテロ原子がうまくドープされた多孔質炭素材料が得られた。加えて、EDSマッピングにより、触媒スペクトル上のFe-NおよびFe-Oピークの存在によって確認された。C、Fe、NおよびSi元素が均質かつ均一に分布していることが確認された。さらぶ放射光測定により、Fe-N4部位やアモルファスSiO2ピークが形成されていることが明らかになった。 LSV測定の結果から、アルカリ性から酸性のすべての領域(0.1M KOH, 0.1M PB, 0.1M HClO4)において、それぞれ1.02V、0.96V、0.86Vのオンセットポテンシャルを示した。市販の40wt% Pt/Cがそれぞれ1.04V、0.99V、0.91Vを示したことから、Pt/Cに迫る値が得られたと。通常、酸性条件では高いORR活性や耐久性は発現しないが、本研究においては、もみ殻にもともと含有しているアモルファスシリカがFe-N4部位の安定性に寄与していることが示唆された。さらに、アルカリ性条件下での優れたORR性能に着目し、亜鉛空気電池を組み立てた。結果として、本触媒をカソードに用いた亜鉛空気電池は103mW/cm2の出力密度を達成し、40wt% Pt/Cセル(78mW/cm2)が達成した出力密度よりも50%近く高くなった。
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