2022 Fiscal Year Research-status Report
可逆的触媒毒の選択的作用機構の解明と最適触媒毒構造導出法の構築
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22K14536
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浅野 周作 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (30827522)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自動実験 / 速度解析 / 不均一触媒 / フローリアクター / 選択性制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルキンからアルケンを合成する部分水素化反応において、Pd触媒上で、キノリンなどの含窒素化合物を添加することで選択性が向上することが、古くから知られている。しかしながら、その作用機構や最適な添加剤については未解明であった。添加剤を用いる不均一触媒反応は、関連するパラメーターが膨大となり、体系的な検討が困難であるためである。 今回、第一年度の研究成果として、Pd触媒を壁面に塗布したチューブをフローリアクターとして用い、送液やサンプリングに用いるポンプやバルブを自動制御することで、その問題を解決した。分析はオフラインで行ったが、GC条件を最適化することにより、迅速な試験が実施できた。21種類の添加剤を用いた352におよぶ反応条件について、物質移動の影響を排除した条件下での体系的な試験に成功し、数々の興味深い結果を得た。例えば、フェナントロリンが、一般的な添加剤よりもはるかに効率よく働くことが明らかになった。また、反応の初期段階では添加剤が反応速度を低下させるが、終盤ではむしろ高速化させるなど、非常に興味深い現象も見出された。作用機構については、添加剤がPd触媒の不規則表面を被覆し、生成物の不規則表面への吸着を抑えていることを、第一原理計算を援用して提案した。 この研究成果は、古典的な反応について、新たな装置と視点から切り込み、学術的にも工学的にも意義深い知見を得たものと評価され、反応工学分野の国際学術論文誌であるReaction Chemistry & Engineering誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
すでに装置構築、運用を終え、成果が国際学術誌に掲載されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
第三成分として触媒毒を入れる以外にも、反応原料そのものが触媒に作用して、反応選択性や反応速度を変化させる現象を見出した。第二年度は、こちらの現象により注目し、吸着測定や速度解析の研究を展開する。
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Causes of Carryover |
バルブ・リキッドハンドラ―などの特注に時間を要し、納品が次年度となったため次年度使用額が生じた。
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Research Products
(3 results)