2022 Fiscal Year Research-status Report
Operando分光と理論計算に立脚した二酸化炭素水素化反応場の設計と創出
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22K14538
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
峯 真也 北海道大学, 触媒科学研究所, 博士研究員 (00913865)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CO2還元 / 低温メタノール合成 / Operando分光 / DFT計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
メタノールは、CO2を原料として合成可能な基幹化学品であり、CO2還元・資源化触媒開発において重要なターゲットである。CO2/H2からのメタノール合成は既に工業化されているが、Cu系触媒を用いる現行プロセスでは高温(250℃ー300℃)の厳しい反応条件が課題となっている。メタノール合成反応は発熱反応であるため、平衡制約の観点から反応条件の低温化(かつ高圧化)が求められている。したがって本研究では、低温下で駆動するCO2/H2からのメタノール合成触媒の開発を実施する。 2022年度は、まず、開発済みの触媒系に対して、種々のOperando分光(IR, UV-Vis, XPS, XAS)を駆使し、触媒活性種の構造解析、反応進行中における電子状態解析を行い、触媒表面に形成されるギ酸種が重要な役割を果たしていることを明らかにした。DFT法に基づく、触媒表面の電子状態計算からも重要な知見を得た。DFT法をはじめとする、現代の計算化学で一般的に用いられる手法は、温度や圧力等の条件を考慮しないため、物質のダイナミクスが重要となる触媒分野、特に、本課題のように高圧条件下で活性種の動的挙動捉える必要のある研究では反応条件を加味した計算が必須となる。そこで本研究では反応雰囲気や温度の影響を計算結果に導入できる第一原理熱力学法を適応し、反応条件下において安定に存在できる触媒活性種の構造を明らかにした。 加えて、触媒活性種をとらえる上で近年注目されているModulation Excitation (ME)法を適用することを試み、従来の手法では捉えきれなかった真の触媒活性種を明らかにした。今後は、得られた知見を基に、触媒機能・性能(基質活性化能)と構造(幾何・電子構造)の相関関係を明確化することで、「真に使える」メタノール合成触媒の開発を目指すとともに、当該分野の学術基盤を確立することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度で実施を予定していた、開発済み触媒の触媒活性種の構造解析・反応メカニズム解明に関しては、おおむね順調に進展している。COVID-19による行動制限・渡航制限が緩和されたこともあり、海外放射光施設(Swiss Light Source)での測定ビームタイムの確保にも成功し、Modulation Excitation (ME)法を用いたOperando XAS測定を実施することができた。解析結果からは従来の測定法では検出できなかった触媒活性種の存在を示唆する結果が得られており、他の分光法や計算化学の結果とも照らし合わせながら慎重に解析を行い、触媒機能・性能(基質活性化能)と構造(幾何・電子構造)の相関関係を明確化することで、高活性なメタノール合成触媒の開発へと繋げたい。
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Strategy for Future Research Activity |
開発済み触媒をもとに、添加元素を加えることでより高活性な「多元素」触媒の開発を目指す。実験の試行回数を減らし、開発にかかる時間とコストを低減させる観点から、機械学習の支援に基づく職場鵜開発を実施する。また、開発した触媒を、逆水性ガスシフト反応や、エタノール合成等、類似反応系にも適用することを試みる。
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Causes of Carryover |
初年度に必要な備品・消耗品を購入後、少額の予算が残った。次年度において必要な消耗品の購入にかかる経費として支出する。
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Research Products
(9 results)