2023 Fiscal Year Annual Research Report
Control of electronic structure of μ-oxo based on polyoxometalates and its application to selective oxidation reactions
Project/Area Number |
22K14539
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢部 智宏 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (40803234)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メタン / 選択酸化 / ポリオキソメタレート / 酸化鉄 / サブナノクラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、欠損型ポリオキソメタレートを鋳型として複数のμ-オキソ構造を有する金属多核活性点を精密に設計し、架橋酸素の反応性を制御することで、メタンなどの難反応性低分子の酸素による選択酸化反応を行った。ホルムアルデヒドやメタノールはメタンと比較して反応性が高いため、逐次反応の抑制が重要でありμ-オキソ構造の精密設計が必要不可欠である。1原子単位で構造を制御して狙ったμ-オキソ構造を有する金属多核活性点を設計したポリオキソメタレート触媒を用いて、オンデマンド・高選択的に酸素から活性酸素種やμ-オキソラジカルを作り、メタン選択酸化を行った。まず架橋酸素の反応性を制御したμ-オキソ構造を有する金属導入ポリオキソメタレート触媒を精密に設計し、酸化物担体に高分散に担持し高効率な固体触媒としての機能を創出する。種々の3d金属導入POMのテトラブチルアンモニウム塩をSiO2に担持した触媒を検討したところ、鉄導入POMが最もホルムアルデヒド収率が高い (反応温度600℃)ことを見出した。さらに鉄の導入核数を変化させたところ、4核以上の鉄を導入すると酸化鉄のナノ粒子を形成し逐次酸化が促進され、非常に高分散なFe-μ-oxo構造が必要であることを見出した。酸素分圧変化試験により、このような高分散なFe-μ-oxo構造においては、バルク酸化物の格子酸素を介して主に進むMars-van Krevelen機構ではなく、酸素を直接活性化するメカニズムであることが示唆された。また初期活性は低担持量の鉄錯体担持触媒と同等の活性を示すことから、WOx骨格は高温メタン酸化雰囲気においても多核金属活性点の構造維持の点で重要であることを見出した。さらに種々の金属カチオンを検討した結果、セシウムをカチオンとしたPOM担持触媒を用いた場合、高温メタン酸化条件でもPOM構造を維持することを見出した。
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