2022 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖高分子膜のデザイン制御を用いたプラズモンバイオセンシング
Project/Area Number |
22K14551
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
寺田 侑平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (80870237)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖鎖高分子 / 表面プラズモン共鳴 / バイオセンサー / サイトカイン / 分子認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体関連分子の相互作用を利用して標的分子の検出を行うバイオセンサーの分子認識部位には主に抗体が用いられてきた。しかしながら、その分子認識部位となるセンサー表面の精密な設計が困難であり、センサーパフォーマンス向上の足枷となっている。本研究では、金属表面の生体分子間相互作用を屈折率変化によって検出するプラズモンバイオセンサーの高感度化および検出選択性の向上などセンサーパフォーマンス向上を、金属表面に就職する糖鎖高分子のデザイン制御によって制御することを目指した。 本年度までの活動で、マンノースを用いた糖鎖高分子の高分子鎖長および糖鎖導入率等の変化によって細胞分泌タンパク質のサイトカインIL-2の検出および検出感度の向上を達成した。その際にプラズモンバイオセンサーチップの金表面に薄い糖鎖高分子膜を形成することが高感度化に寄与することを明らかにした。本研究で明らかになったことは今後のバイオセンサー開発に向けた糖鎖高分子膜の設計指標として有益な結果となった。また、本年度より前所属の先端フォトニクス・バイオセンシングオープンイノベーションラボラトリから環境創生研究部門・環境機能活用研究グループに着任することとなり、新たな環境での研究活動を始動した。そのため新たに研究環境を整備し、研究内容の幅を広げるべく表面プラズモン共鳴イメージングを用いて未知のタンパク質検出を目指した糖鎖高分子の分子認識能を網羅解析するシステムの構築を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度より環境関連の分野へと所属が変更になったが、同様にプラズモンバイオセンサーを用いた糖鎖高分子によるタンパク質検出を目指した研究活動を行なっている。新たに研究環境を整備し、表面プラズモン共鳴イメージング(SPRI)を用いた未知タンパク質に対する糖鎖高分子の分子認識能を明らかにすべく糖鎖高分子の網羅合成を行い、新たにグルコースおよびガラクトースが導入された長さの異なる糖鎖高分子ライブラリを合成した。また、SPRIを用いたタンパク質吸着の検出および結合解析を行ない、糖鎖高分子ライブラリの結合定数を算出した。今後、新たに糖鎖高分子での認識が未知なタンパク質を対象としたハイスループットな解析が期待される。以上の理由により、順調に予想以上に研究が推進されていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
糖鎖高分子ライブラリにシアル酸、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン等を導入した糖鎖高分子を新たに合成する。また細胞分泌タンパク質やレクチンといったバイオ関連分野の標的のみならず、環境関連の標的も視野に入れた糖鎖高分子-SPRIによるバイオセンシングを行う。検出対象として、環境に生息する微生物による代謝産物であるタンパク質および酵素を予定している。
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Causes of Carryover |
論文投稿を予定しており、追加実験が必要となる可能性がある。その場合に次年度に予算執行の必要があるため。論文の追加実験または糖鎖モノマーの依頼合成が高額になる可能性があるため、そちらに予算を執行する。
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