2022 Fiscal Year Research-status Report
ねじれ棒状液晶性粒子の合成とコレステリック相に基づく構造色の発現
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22K14562
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 利喜 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (40940185)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コロイド液晶 / 構造色 / バイオミネラリゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の無機物ベースのコロイド液晶は単純な形状の粒子からなり、有機物からなる液晶と比べて単純配向しただけの液晶であったため、機能性に乏しかった。そこで本研究では、生物が鉱物を生み出すバイオミネラリゼーションに倣うことで、構造色を示す新規コロイド液晶の開発を目的とする。具体的にはアミノ酸存在下で結晶成長を行うことによってねじれ棒状粒子を合成し、その形状によって誘起されたコレステリック相による構造色材料の開発を最終目標としている。 2022年度では、まずバイオミネラリゼーションに倣い、アパタイトベース粒子の合成条件を検討した。その結果、非常に粒径分布の狭い液晶性棒状粒子の合成に成功した。基本的な粒子構造や液晶性の評価を行った。次にアミノ酸存在下でアパタイトベースの粒子を合成することを試みた。すると予想に反してねじれ構造ではなく、長さは850nm、直径150nm程度の紡錘状の粒子を合成することができた。その粒子の形状やサイズはアミノ酸種や濃度などの合成条件によって制御することができ、最大で長さ3μmを超える粒子も合成できた。直径に対する長さのアスペクト比が6程度であったため、比較的高い粒子濃度で液晶相を形成した。さらに、特定の条件下ではその液晶構造に基づいていると思われる構造色を示した。当初の予定であったコレステリック相からなる構造色ではなかったが、新奇構造色材料として粒子の構造、液晶性、構造色についての評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の狙いであったねじれた棒状粒子の合成に至ってはいないが、アミノ酸によって粒子の形状制御ができることを明らかにし、新奇構造色材料の開発ということに関してはおおむね順調/やや遅れていると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、紡錘状粒子の液晶性と構造色特性を結び付けつつ評価を行っていく。また、これまでに合成してきた知見を元に、ねじれ棒状粒子の合成を引き続き目指す予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定を少し変更して実験を遂行したため、試薬や器具等の消耗品に使用する予定であった予算分配に変更が生じた。次年度はこの予算を使用することにより、研究促進を図る。
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