2023 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ内部における一次元炭素鎖の構造制御と物性解析
Project/Area Number |
22K14564
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
姜 天水 長野工業高等専門学校, 情報エレクトロニクス系, 助教 (70884443)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 一次元炭素鎖 / カルビン / カーボンナノチューブ / 構造制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
一次元炭素鎖 (Linear Carbon Chain:LCC)は、超電導特性やエネルギーギャップの変調等のユニークな諸特性が予測されているが、安定性に欠けるため実験的な構造・物性の解明は進展が乏しく、分野の発展のためにはLCCの構造制御法の確立・物性の解明が急務である。 本研究では、一次元炭素鎖の構造制御を目的に、ニ種類の、LCCを内包するカーボンナノチューブ (LCC@多層CNT、LCC@二層CNT)に対して高温熱処理を行い、その構造変化をRaman分光分析で解析した。その結果、LCC@多層CNTでは1700oCの高温熱処理を施すと、LCCは互いに融合し鎖長が長くなったことが分かった。その時LCC鎖長はおよそ6nmから11nmになったことが推測される。一方、LCC@二層CNTでは、1700oCの高温熱処理を施すと、二層CNTの構造が変化することにより内部のLCCも構造が消失しまったことが分かった。このことから熱処理によるLCCの構造制御にはホストCNTの熱耐性が重要となることが分かった。また、これまでLCC@CNTに高圧をかけLCCの鎖長を長くしたという報告はあるが、高温熱処理をによるLCCの鎖長制御は世界初の研究成果であり、LCC分野における価値は高いといえる。更に、高圧によるLCCの鎖長制御より、半値幅の狭いLCCのRamanピークを示していることから、熱処理によるLCCの鎖長制御はより効果的なLCCの構造制御手法であることが示唆された。 次に、LCCの電気化学特性及び酸化還元・イオン吸蔵機構解明を目的として、二種類のLCC@CNTに対してIn-situ分光電気化学評価を行った。電気化学反応時におけるLCCのRamanピークの変化から、LCCの電子構造の変化が示唆されたが、その詳細な解析までは至らず、今後の更なる研究の必要性が示された。
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