2023 Fiscal Year Research-status Report
Exploration of non-linear magnonics and magnon squeezing by magnetization state tomography
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22K14584
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日置 友智 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (10898042)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マグノン / 磁化 / ゆらぎ / スピン / スピン流 / スクイーズド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では磁性体中の磁化ダイナミクスを非線形相互作用を通じて制御する事で、磁化秩序の素励起であるマグノンの異常な物理状態である、スクイーズド状態を生成することを目指す。本年度は、マイクロ波印加による磁化状態制御について、ジョンソンナイキストノイズ程度のマグノン揺らぎを測定可能とする電気測定系の構築を行い、マグノンスクイーズド状態の観測のための測定環境を整えた。試験的実験として、磁化ダイナミクスを非線形に励起する過程の一つである非縮退パラメトリック励起を実現した。パラメトリック励起は磁化歳差運動の共鳴振動数を周期的に変調することで自発的な発振が生じる現象であり、通常は共鳴振動数の二倍の周波数の外場を加えることで、共鳴振動数の振動が生じる(縮退パラメトリック励起)。一方で、共鳴条件からずらした周波数の外場を加えた際には、二つの周波数成分が励起され、その二つの周波数の和が外場の周波数となるような非縮退パラメトリック励起が生じる。この時、もともと外場を担う一つの素励起が、二つの異なる素励起に分離する過程であるために、二つの周波数成分の間には相関が形成されることが期待され、このプロセスは実際に光で量子エンタングルメントを生成する素過程と同じになっている。本年度は、非縮退パラメトリック励起を磁性体素子中で実行することができることを示し、実際に局在した表面スピン波が励起されることを確認した。また、マグノンの寿命を従来の50倍程度に伸ばす非線形散乱過程を明らかにし、Nature Materials誌に投稿・出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で目指していたマグノンスクイーズド状態の生成は熱揺らぎに対しては一定程度既に実現している。更にこれに加えて、非縮退パラメトリック励起が実現できたことで、マグノン間に非自明な相関を形成することが可能となるはずであり、既に同類の非線形過程を用いたマグノン寿命の延伸など全く当初期待されていなかった重要な成果が得られていることから当初の計画以上に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は非縮退パラメトリック励起過程で生成された二つの周波数の異なるマグノン同士にどのような相関が形成されているかを詳細に検討する。実験的には、二つの周波数に対する同時のホモダイン検波が行えればよいはずである。縮退過程と異なり、マグノンの周波数が固定されない条件でのホモダイン検波になるため技術的な困難があるが、非線形の引き込み減少などを用いることによりこの課題を解決することを狙う。
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Causes of Carryover |
今年度に多くの研究業績が上がったため、来年度の国際学会の招待講演が増加した。これに伴う旅費の確保のために当初予定を変更して本年度予算の一部を来年度に使用することとした。
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Research Products
(12 results)