2022 Fiscal Year Research-status Report
New development of all-optical helicity-dependent magnetization switching
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22K14588
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 貴大 東京工業大学, 理学院, 助教 (40874722)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 全光型磁化反転 / 強磁性金属薄膜 / 円偏光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、膜構造・パルス幅・波長の3条件をアップデートし、全光偏光依存磁化反転の磁気記録媒体への応用と同時にその物理の発展に貢献する新展開を創出することである。本年度はまず、近赤外から可視領域に中心波長をもつ従来のフェムト秒レーザーではなく、X線自由電子レーザー(XFEL)を用いた円偏光依存磁化反転を実証した。Pt/Co/Pt多層膜中の磁気分極したPt原子のL3吸収端を硬X線パルスにより強励起したとき、円偏光状態に依存して磁気ドメインが変化した。XFEL照射後の磁化状態の空間的な偏りがX線磁気円二色性(XMCD)とよく一致する。これは、磁化反転の円偏光依存性が、円偏光選択的な内核-外殻準位間での電気双極子遷移に由来するX線光子の吸収により生じることを意味している。さらに、2022B期のSACLAビームタイムにおいて、SACLAのシステムとフェムト秒レーザーを同期しながら、磁気ドメインの変化を時間分解撮像する測定系の構築に成功した。今後は、この測定系を用いて、磁化反転ダイナミクスの解明に注力する。 さらに、フェムト秒レーザーではなくナノ秒レーザーを使用した円偏光依存磁化反転を調査した。QスイッチNd:YAGレーザー(パルス幅: 10 ns)を使用し、Pt(3 nm)/Co(0.6 nm)/Pt(3 nm)を励起した。磁気ドメインの変化が生じるよりも低いエネルギー密度で薄膜がダメージを受け、保磁力が変化した。光吸収により膜内に蓄積された熱のために、膜がダメージを受けたと考えられる。この問題には、強磁性層の膜厚を薄くし、キュリー温度を室温付近まで下げることで対処する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりに、円偏光依存磁化反転とXMCDとの明確な相関を明らかにし、XFELを用いた時間分解測定系の構築することができた。円偏光ナノ秒レーザーを用いた偏光依存磁化反転の実証には未だ成功していないが、問題に対処する筋道がすでに立っている。これら事実から、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
継続課題は、【研究実績の概要】に示したように推進していく。反対称膜構造を用いた全光型円偏光依存磁化反転の調査は、今年度から開始する予定である。
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Causes of Carryover |
退官された教授から計画の実行に必要な高額備品を引き継ぐことができたため、備品の購入ではなく消耗品に研究費を回すことができた。残りの直接経費も消耗品の購入に主に充てる予定である。
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[Presentation] Magnetization switching by circularly polarized x-ray free electron laser2023
Author(s)
Kihiro T. Yamada, Akira Izumi, Tetsuya Ikebuchi, Sumiyuki Okabe, Masaki Kubo, Ryusei Obata, Rei Kobayashi, Yoshito Tagahashi,Yao Lyuxian, Yuya Kubota, Takuo Ohkochi, Yoichi Shiota, Takahiro Moriyama, Teruo Ono, Iwao Matsuda, Tadashi Togashi, Yoshihito Tanaka, Motohiro Suzuki
Organizer
第70回応用物理学会春季学術講演会
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