2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K14593
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
埋田 真樹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 博士研究員 (90914060)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | バーネット効果 / スピンー回転結合 / 磁性流体 / スピントロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、磁性体中の角運動量と力学回転の結合現象であるバーネット効果を用い、非慣性系上のコロイド粒子に生じる自発的回転現象を解明することを目的とする。R5年度は、溶媒依存性と濃度依存性を含めた各種系統測定に取り組んだ。 R4年度までの成果として、流体試料の帯磁率と力学回転誘起の漏れ磁場の精密測定が可能な装置開発を完了した。また、市販の磁性流体EFH1を用いてバーネット磁場を測定することで、溶質であるマグネタイトのみの粉末試料に比べて2倍近く増大すること、そしてブラウン運動が回転の起源であることを発見している。系統測定として、溶質の異なる商業用磁性流体の入手は困難だったため、溶媒依存性の検証を目標とし、マグネタイトを共通の溶質として溶媒の密度と粘度の異なる5種類の試料を準備した。加えて溶媒で希釈したEFH1試料を準備し、粒子間距離に伴うダイポール相互作用やクーロン相互作用がバーネット磁場、ひいては付加的回転に及ぼす影響を調べた。周波数依存性による傾きから見積もったバーネット磁場強度が、1)粘度、濃度によらず密度のみに依存すること、2)密度が小さくなるほど信号が増大することを発見した。非慣性系上で付加的回転が駆動される時、回転の上限値は慣性力であるコリオリ力と流体から受けるマグヌス力が釣り合うことで決まると見込まれる。本解釈に基づき密度から見積もった付加的回転の角速度は、実験的に磁場強度から見積もられる角速度と定量的に一致することを確認した。 以上、前年度に開発した高感度バーネット効果測定装置を用いることで、予定していた全ての系統測定を完了し、回転のメカニズムを解明した。本成果の一部である装置開発は、Review of Scientific InstrumentsにEditor’s Picksとして選出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り前年度までに整備した測定環境利用することで、試料準備と溶媒依存性、濃度依存性を含む系統測定を一通り完了し、実験結果に基づく付加的回転のメカニズムの解明にまで至ったため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は数値シミュレーションと成果発表を行う。具体的には系統測定時の比較条件として温度、濃度、溶媒密度、粘度の各種パラメータが慣性力を受けて熱揺動するナノ粒子の回転自由度に与える影響の基礎的知見を得るため、Langevinモデルと分子動力学シミュレーションでそれぞれ評価する。また学会発表と論文投稿を行い、本研究をまとめる。
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Causes of Carryover |
当初計画において予定していた学会参加のうち、一部を見合わせたことにより、それらに係る費用が次年度使用額として生じた。次年度使用額は、次年度分研究費と合わせて、シミュレーションに必要な物品の購入に係る費用等として使用する。
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Research Products
(5 results)