2022 Fiscal Year Research-status Report
波長よりも大きな物体を隠せる透明マントの設計理論の確立および実現
Project/Area Number |
22K14608
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
永山 務 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (80781997)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 透明マント / メタマテリアル / 伝送線路理論 / ミアンダマイクロストリップ線路 / 位相制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は, 波長よりも大きな物体を隠せる反射型と透過型の2種類の透明マントの実現の可能性について検討した. 反射型透明マントについては, 研究を実施する前段階として, 1次元分布定数線路モデルを用い, モデルの線路長を場所ごとに変えることで反射位相を操作して構成する手法を提案していたため, 反射型透明マントから先に取り組んだ. まず, 複数の1次元ミアンダマイクロストリップ線路構造を提案し, モデルの理論式から線路長を計算して, 実現可能な範囲で反射型の透明マントを構成できることを示した. また, 有限要素法に基づく電磁界解析の結果から, 反射型透明マントが波長よりも大きな物体を隠すことができ, 広帯域動作も実現できることを実証した. 次に, 反射型透明マントの設計法を参考に, 透過型の透明マントの設計理論を考えた. 具体的には, 単位セル長と伝送線路の線路長が同一の1次元分布定数線路モデルと, 1次元ミアンダマイクロストリップ線路構造で実現することを念頭に置いた, 単位セル長よりも伝送線路の線路長が長い1次元分布定数線路モデルを使い, 透過位相を制御する目的でそれら2種類のモデルを上手く使い分け, 線路長を場所ごとに変えて透過型透明マントを構成する方法を提案した. また, 線路長をモデルに与えて回路シミュレーションを行い, 透明マントが波長よりも大きな物体を隠し広帯域動作も実現できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R4年度は, (1)反射型透明マントの構成と電磁界シミュレータによる動作検証, (2)透過型透明マントの構成理論の提案および回路シミュレーションによる動作検証を行った. 研究目標としては, 達成している. 「概ね」としているのは, 透過型の透明マントの構成と電磁界シミュレータによる動作検証が終わっていないからであるが, 反射型透明マントの方で手法を確立できているため, R5年度の研究を開始してすぐに実施完了できる見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度は, (1)反射型透明マントの試作・実証実験, (2)透過型透明マントの構成と電磁界シミュレータによる動作検証, (3)透過型透明マントの試作・実証実験に取り組む. (1)および(3)の試作については外注に頼り, 実証実験については必要機材を購入した上で実施する予定である. また, (3)については(1)を参考にして実施する. 結果がまとまれば, (2)についてはマイクロ波の国際会議への投稿・発表を目指し, (1)および(3)は, 基本的にはマイクロ波関連の雑誌掲載, もしくは, 可能であれば物理系の上位雑誌への投稿を目指す.
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