2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K14609
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
李 香福 日本女子大学, 理学部, 助教 (50836632)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 音響キャビテーション気泡 / ソノルミネセンス / 帯電 |
Outline of Annual Research Achievements |
音響キャビテーション気泡は様々な分野への応用が期待され研究が行われている。音響キャビテーション気泡のより有効な適用には、気泡の動力学、圧壊時に生じる物理的・化学的作用など、気泡性質を解明する必要があるが、まだ十分に解明されていない。本研究では、音響キャビテーション気泡の電気的性質について調べる。先行研究では、水中のSL単一気泡(SBSL気泡)に直流電圧を印加してその時の気泡位置のずれ方向を観察した。その結果、SBSL気泡がプラスに帯電していることを実験的に示された。また、SBSL気泡のSL時間と移動距離の相関から、気泡の圧壊時に気泡内部で生成される化学反応物が、帯電に影響をすることが示唆された。気泡圧壊時の化学反応物が帯電に影響をすることを明確にするために、超音波周期と同期した交流電圧を位相を変えならSBSL気泡へ印加し、その時のSL信号を観察した。気泡径が最大になるときに電圧値が最大になるように印加した場合と、気泡圧壊時に電圧値がゼロになるように電圧を印加した場合はSL信号のタイミングに変化は見られなかった。しかし、気泡圧壊時に電圧値が最大値になるように印加した場合はSL信号のタイミングが最もずれる結果を示した。さらに、最大値が正の場合はSL信号のタイミングは電圧を印加していない時より早まり、最大値が負の場合で遅くなった。印加電圧の極性によるSL信号のタイミングのずれ方向は直流電圧を印加した場合と同じで方向であった。これらの結果はSL気泡はプラスに帯電していること、気泡の膨張と収縮のうち、収縮過程が極性決定に最も影響することが示唆し、圧壊時の気泡内部で生成される化学反応物が帯電の要因であることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初では、令和4年に電場印加タイミングと溶液のpHへの依存性を調べ音響キャビテーション気泡が極性を持つ要因について、気泡内部側と気液界面付近の溶液側の内、どちらが気泡の極性に支配的に働くかを検討することを計画したが、実験方法を見直す必要があり、予定より研究がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年には溶液のpHへの依存性を調べ、気泡内部側と気液界面付近の溶液側の内、どちらが気泡の極性に支配的に働くかを検討する。さらに、SLスペクトル測定より、印加電場のSLスペクトル成分を調べる。特に、電圧によって溶存ガス由来のスペクトル成分に変化が生じた場合は、電場が気泡内部のプラズマ状態にまで影響を及ぼしたことになる。
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Causes of Carryover |
当初計画した実験方法を見直す必要があり、次年度に使用することにした。電場印加下でのSL気泡位置の変化量と気泡の膨張・収縮への影響を詳しく測定するため、高速度撮影が可能なカメラの購入を考えている。また、直径が数百μメートルの気泡の水中のトラップ位置での音圧を精密に測るために直径0.5mmのハイドロフォンの購入を考えている。
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