2022 Fiscal Year Research-status Report
テラヘルツ波とX線パルスによるサブサイクル時間分解分光の実現に向けた光源開発
Project/Area Number |
22K14620
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
金島 圭佑 兵庫県立大学, 理学研究科, 助教 (30804025)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 放射光 / ファイバーレーザー / テラヘルツ波 / 時間分解分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は放射光X線パルスと同期可能なファイバーレーザーシステム及びそれを用いたテラヘルツ波源を開発し,X線と近赤外光,またX線とテラヘルツ波を組み合わせた時間分解分光を実現することである. 2022年度は主に,ファイバーレーザーシステムの開発とテラヘルツ波の発生・検出システムの開発を行った.また,超短パルス光を取り扱う上で重要となる,光学素子の分散を評価する装置を開発し,論文として発表した. ファイバーレーザーの開発においては,非線形偏波回転を利用した共振器およびファイバー増幅器を開発した.本システムは,波長1600 nm, パルス時間幅 < 100 fs,平均パワー ~150 mW,繰り返し周波数 42.3 MHz の光パルス列を出力可能である.共振器長はスタック型のピエゾアクチュエータを用いて制御可能となっており,放射光施設SPring-8のAモード運転時のX線パルス列と同期が可能となっている. 本ファイバーレーザーシステムと有機非線形光学結晶DASTを用いて,テラヘルツ波の発生・検出システムの開発も行った.検出にあたっては半導体結晶ZnTeを用いた電気光学サンプリング法を用いた.検出の結果,2 THz を中心周波数とするテラヘルツ波の発生を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は次の4段階で進めていく計画である:①放射光と同期可能な,エルビウムファイバーレーザー光源の開発;②開発したレーザー光源を利用したテラヘルツ波の発生・検出系の開発;③上記で開発した光源を放射光施設に持ち込み,タイミング同期の確認・評価;④開発した光源と放射光X線を組み合わせた時間分解分光の実証実験. 2022年度の研究において,上記①,②の段階を終えている.おおよそ当初の計画通りであるため,「(2)おおむね順調に進展している」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ,概ね計画通りの進捗状況である.2023年度の研究では,上記で述べた4段階の計画のうち③および④,すなわち,開発したファイバーレーザーを放射光施設に持ち込み,X線パルスとのタイミング同期が可能であることを確かめること,そして同期したレーザー光とX線パルスを用いた時間分解分光の実証実験,にむけて研究を進めて行く方策である.
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Causes of Carryover |
テラヘルツ波検出のためのロックイン増幅器の購入を計画していたが,2022年度内での購入が間に合わなかった.2023年度内のロックイン検出器の購入費用として使用する予定である.
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