2023 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ波とX線パルスによるサブサイクル時間分解分光の実現に向けた光源開発
Project/Area Number |
22K14620
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
金島 圭佑 兵庫県立大学, 理学研究科, 助教 (30804025)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 放射光 / ファイバーレーザー / テラヘルツ波 / 時間分解分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,放射光X線パルスと同期可能なファイバーレーザーシステムと,それを用いたテラヘルツ波源を開発し,X線と近赤外光,さらにはX線とテラヘルツ波を組み合わせた時間分解分光を実現することである. 一般に,放射光X線を用いた時間分解分光は,放射光施設のビームラインのうち,レーザーハッチが併設された特定のビームラインでしか行えない.使用されるレーザーシステムは,高いパルスエネルギーを実現するために大型のものとなっており,施設に備え付けられている.そのため,レーザーのパラメータ調整やアライメントを限られたビームタイムの中で行う必要がある. 一方,本研究で開発するファイバーレーザーシステムおよびタイミング同期に必要な電子回路は,コンパクトかつ持ち運び可能で,安価に製作できる設計となっている.持ち運び可能であるため,あらかじめレーザーのパラメータ調整やアラインメントを行った状態で,そのまま放射光施設に持ち込むことができる.本システムと放射光X線を組み合わせた時間分解分光の実現が実証できれば,従来よりも容易に放射光X線を用いた時間分解分光が可能となる.そのため,本研究は,X線を用いた時間分解分光の学術的・産業的応用において大きな意義を持つ. 2023年度は,開発したレーザーシステムを放射光施設SPring-8に持ち込み,実際にタイミング同期が可能であることを確認する実験を行った.短期的なジッターの大きさや長期的な安定性を評価し,ファイバーレーザーシステムの開発に関する記述と合わせて論文にまとめた.
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