2022 Fiscal Year Research-status Report
All optical switching devices based on microcavities with two-dimensional materials
Project/Area Number |
22K14624
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山下 大喜 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 訪問研究員 (40858099)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光スイッチ / シリコンフォトニクス / フォトニック結晶 / 微小共振器 / 二次元材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、二次元層状半導体を積載した微小光共振器デバイスの作製に取り組んだ。構造をチップの端に配置することでチップ端から信号光を導波路入力できるようにした。通信波長帯で動作する共振器の評価を行い、Q値が平均して10^4程度のデバイスを作製した。特定の共振器上に転写法を用いて二次元材料の積載を試みた.初めにこれまでに実績のあるWSe2を転写したデバイスを作製したが、後述の理由により、MoTe2を使ったデバイスに切り替えた。 次に、光スイッチ動作特性の評価を行なった。共振器の共振波長に合わせて信号光を共振器に入力し,二次元層状材料の励起子共鳴吸収波長でスイッチング光をチップ直上から入射した.通信波長帯超伝導単一光子検出器で信号光強度の時間変化をモニターすることで光スイッチング特性を評価した.最初に着手したWSe2を積載したデバイスでは、何も積載していないデバイスと比べ、スイッチング応答時間はほとんど変わらず、変調強度は小さくなった。これはWSe2のキャリア寿命がシリコンよりも長く、全体の光吸収量も下がってしまったことによると考えられる。この結果を受け、非常に短いキャリア寿命をもつMoTe2の使用を試みた。その結果、非常に高速なスイッチング応答するデバイスの作製に成功した。 このMoTe2を積載したデバイスにおいて、二次元材料の膜厚によるスイッチング特性の違いを調べた。その結果、薄い膜厚の方がより高速な応答が得られ、厚い膜厚の方が大きな変調強度が得られることがわかった。これは薄い方が表面欠陥の影響を受けやすく、キャリア寿命が短くなっていることと、厚い方が全体の光吸収量が上がることが原因だと考えられる。キャリア寿命については、光子寿命測定を行い、実際に薄い方が寿命が短くなっていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は①二次元層状半導体を積載した微小光共振器デバイスの作製、②光スイッチ動作特性の評価、③光生成キャリアのダイナミクスの研究に取り組んだ。スイッチングに適した共振器-導波路デバイスの作製手法を確立し、二次元材料転写システムを改善した。初めにこれまでに実績のあるWSe2を転写したデバイスを作製したが、何も積載していないデバイスと比べ、スイッチング応答時間はほとんど変わらず、変調強度は小さくなった。これはWSe2のキャリア寿命がシリコンよりも長く、全体の光吸収量も下がってしまったことによると考えられる。この結果を受け、非常に短いキャリア寿命をもつMoTe2の使用を試みた。その結果、非常に高速なスイッチング応答するデバイスの作製に成功した。膜厚によるキャリアダイナミクスの違いも明らかになってきており、当初の計画を大幅に前倒しする進捗が得られている。以上を踏まえて研究が順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きMoTe2を積載したデバイスのスイッチング特性の評価を行う。具体的には、さまざまな二次元材料の膜厚のデバイスに対して励起波長依存性や、励起強度依存性を測定し、スイッチングに最適な条件を明らかにする。また、光キャリアダイナミクスの制御にも取り組む。MoTe2は他の二次元材料と比べても表面欠陥が生じやすいため、キャリアダイナミクスが時間経過とともに変化することが予想される。これを利用し、最適なキャリア特性を持つ状態でデバイスを封止する手法の開発にも着手したい。最終的に本スイッチングデバイスの応用に向けた性能向上可能性までを検討できるような知見を得るところまでを目標にする。
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Causes of Carryover |
計画では測定に用いる光学部品の追加購入、二次元材料転写装置のアップデートを予定していたが、既存設備を用いた最初の実証実験を優先した。また、光生成キャリアダイナミクス評価のために過渡吸収応答測定を実験系を構築する予定であったが、発光寿命測定でも間接的にそれをある程度評価できたため、本年度の使用額が予定より下回った。次年度、発光寿命測定系をアップデートするための光学部品を追加で導入予定である。
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Research Products
(4 results)