2022 Fiscal Year Research-status Report
極端紫外レーザー光電子分光による気液界面に特異的な反応の起源の探索
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22K14646
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 遥一 京都大学, 理学研究科, 助教 (70837319)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 液体光電子分光 / 電子束縛エネルギー / 液膜ジェット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的達成に必要な装置の改良に関しては、コロナ禍による物品の調達の遅れがあったため、物品の調達はほぼ終えることができたが実際に装置の改良および評価、運用といったところまでは進捗しなかった。代わりに、本研究の目的を達成することができる可能性のある半球型光電子分光装置を用いた実験を進めた。半球型光電子分光装置では目標のエネルギー分解能は十分に達成することが可能であるが、観測する電子のエネルギーを掃引するために十分な信号雑音比でスペクトルを得るのに時間がかかってしまう欠点があった。一方で、真空中に導入された液体試料は直径20ミクロン程度の円柱状ジェットであるのに対し、実験で使用している真空紫外光は直径1ミリ程度と空間的重なりが小さく、光量を十分に生かすことができていなかった。そこで、試料の導入方法を円柱状のジェットから横幅1ミリ、長さ3ミリ程度の液膜ジェットへと変更し、信号強度の増加を試みた。この液膜ジェットは二つの円柱状ジェットを衝突させることで発生できる。本研究では一つのガラス基板上に2本のマイクロ流路を作成することで、二本のジェットの相対位置を固定化し、安定に液膜ジェットを発生できるマイクロ流路デバイスを開発した。現在、開発した液膜ジェットを用いて、スペクトルの強度や形状を精査するためのデータを測定・検証し、論文として発表する準備を進めている。また、液体の回収方法等の付随する装置改良も進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実績にも書いた通り、当初計画していた装置開発は、調達の遅れがあり、予定通りの進捗があるとは言えなかった。一方で、別方向からのアプローチとして、液体導入方法の変更による信号強度の増加に取り組み、目的の達成に応用可能な液膜ジェットの開発を進めることができた。本手法は半球型光電子分光装置だけでなく、今後改良予定の飛行時間型装置にも応用可能であるため、当初予定していた方法論においても役立つことが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
物品の調達を進め、当初計画にあった飛行時間型光電子分光装置の改良を進めるとともに、液膜ジェットを用いた光電子分光を応用した実験研究を推進する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による物品の調達の遅れがあったため、一部物品の調達が行えなかった。調達予定であったものを翌年度に改めて購入する。
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Research Products
(11 results)