2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of organic chromic materials utilizing the characteristics of heteroatoms
Project/Area Number |
22K14666
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安達 洋平 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (50805215)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ホウ素 / メカノクロミズム / サーモクロミズム / BAE / ケイ素 / アルケン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、Bistricyclic Aromatic Ene (BAE)と呼ばれる骨格にヘテロ原子を導入することで、元素特有の反応性に由来するクロミズム特性を示す新材料を開発することが目的である。BAEは2つの三環性骨格を二重結合で連結した構造であり、二重結合が大きくねじれたtwisted体や、三環性骨格が折れ曲がったfolded体などの様々な配座異性体を取りうる。これらの配座異性体は二重結合のねじれ角に依存して異なる紫外-可視吸収スペクトルを示すため、熱や摩砕などの外部刺激によって配座が異性化することで、色調が変化する。そのため、BAEはサーモクロミズム材料やメカノクロミズム材料などへの応用が検討されている。一方でヘテロ元素は空軌道や非共有電子対を持つため、塩基や酸などに対して反応性を示す。また高周期元素は結合長が長いため、π系に導入することで骨格の剛直性などが大きく変化する。本研究では剛直なsp2ホウ素とチオフェン環をベースとした新規BAE骨格に、様々なヘテロ元素を含むユニットを置換することで、BAEの配座異性体の熱力学的安定性をコントロールし、BAEにクロミック特性を付与することを試みた。実際に化合物の合成を行った結果、期待通り、高周期の元素を含む骨格ほど柔軟性が高く、folded体が安定化することが明らかになった。またホウ素とケイ素を組み合わせることでBAEの配座異性体のエネルギー差を極めて小さく設計することも可能であった。これらの結果から、ヘテロ元素を利用することで、メカノクロミズムやサーモクロミズムを示すBAEを合成するための新たな分子設計指針を確立することができた。さらにホウ素中心のルイス酸性を利用して、アニオンを配位させることで、配座異性体間のエネルギー差をコントロールし、従来のBAEにはないアニオンに対するケモクロミズムを実現することもできた。
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