2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K14669
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
加藤 健太 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), 次席研究員(研究院講師) (90897589)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非平面PAH / 含ホウ素PAH / ナノグラフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
三次元的なπ共役系の広がりをもつ湾曲グラフェンは、典型的な平面グラフェンでは発現し得ない数々の性質を示す魅力的な基盤材料である。湾曲グラフェンへのホウ素原子の導入は、電子受容性の付与に留まらず、ホウ素のルイス酸性や配位数の変化を利用した化学吸着能が付与できるため、湾曲グラフェン化学に新地平を開拓できる。そこで本研究ではホウ素ドープ湾曲グラフェン化学の開拓を目指し、ホウ素がドープされた湾曲ナノグラフェンの合成および湾曲構造内に固定化されたホウ素の特異な物性・現象の探索と追及を目指した。 まず、当初の合成経路による目的化合物の合成を目指したが、鍵前駆体合成において予期せぬシグマトロピー転位などが進行した異性体が精製した。そのため、初期合成経路でのホウ素がドープされた湾曲ナノグラフェンの合成が困難であることが明らかとなった。次に、新たな合成経路として、縮環構造を増やした縮環前駆体を用いるホウ素ドープ湾曲ナノグラフェンの合成経路を考案した。縮環構造を有する前駆体は、理論計算により先の合成経路で問題となった異性化が進行しないことが予測された。新しい鍵前駆体の合成を3通りの合成経路で試みたが、いずれも、望みの分子変換を進行させることができなかった。さらに新たな逆合成解析に基づく合成経路にて、新しい鍵前駆体の合成に取り組んでいる。新たな合成経路は、不安定な中間体を経由しないため、目的化合物の安定した量的供給が可能になることが期待できると考えている。
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