2022 Fiscal Year Research-status Report
Low threshold FRET lasers constructed by organic mixed co-crystals
Project/Area Number |
22K14671
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
松尾 匠 高知工科大学, 環境理工学群, 助教(PD) (00911314)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 光導波路 / 光共振器 / 有機レーザ / 有機混晶 / エネルギー移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
蛍光性の柔軟性有機単結晶として知られている9,10-ジブロモアントラセンをホスト分子として有機混晶を作製した。ホスト分子とゲスト分子の混合溶液を室温下で揮発させることで有機混晶を作製した。ゲスト分子(ドーパント)として同対称性の9,10-ジシアノアントラセン、9,10-ジメチルアントラセン、9,10-ジホルミルアントラセンが1-5%程度の混合比率でドープされた有機混晶を作製することができたことに対し、1,8-ジブロモアントラセン、2,7-ジブロモアントラセンといった対称性が異なるアントラセン分子はドープされずにそれぞれの結晶として析出したことから有機混晶の作製には分子形状や対称性の選択が重要であることがわかった。 9,10-ジブロモアントラセン結晶は青色蛍光を示すが、これに9,10-ジホルミルアントラセンをゲスト分子としてドープした有機混晶はフェルスター型のエネルギー移動(FRET)により蛍光はオレンジに大きく長波長シフトすることがわかった。この有機混晶について顕微蛍光スペクトル測定による蛍光導波特性評価を行い、減衰係数(dB/cm)を算出したところ9,10-ジブロモアントラセン結晶で見積もった減衰係数よりも減衰係数は一桁低下した。またゲスト分子のドープ率の上昇に伴って減衰係数は上昇することがわかった。これら混晶化による減衰係数の低下、すなわち蛍光導波効率の向上はFRETによる蛍光波長の長波長シフトによって導波蛍光の結晶内再吸収ロスが抑制されることに由来すると解釈できた。またこれら混晶について単結晶X線構造解析を行うと、9,10-ジブロモアントラセンとほぼ同一の結晶構造としてその構造を明らかにすることができた。作製した有機混晶は柔軟性を維持していたことから適切な分子との混晶化により柔軟性を維持したまま自在に光学特性を変調できるという可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本テーマの主目的であるFRETによる高効率有機レーザの作製に対し、前進する成果を得た。作製した有機混晶ではFRETにより導波蛍光の自己吸収が小さくなることに由来して減衰係数が小さくなることを明らかにしているが、有機単結晶レーザにおいても導波蛍光自己吸収の低減は発振閾値低下に大きく寄与することが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回類似した対称性を有するアントラセン系分子では結晶化した際に1-5%程度の混合比で混晶が得られることを明らかにし、混合比に応じて導波効率が変化することも明らかにした。これら知見を活かして蛍光導波損失が小さくなる条件での有機混晶作製を行い、FRET型有機レーザを作製する。本年度はアントラセン分子を主軸に混晶作製を行ったが、今後はよりレーザ媒質に適した分子群としてアントラセン系よりも結晶状態における蛍光量子収率が大きいとされるシアノスチルベン等の分子骨格を用いて有機混晶作製を行う。
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Causes of Carryover |
2022年度に新しく試薬を購入して進める予定であった実験を、スケジュール変更で次年度に実施する見通しとしたため。
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