2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K14698
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
楠本 壮太郎 神奈川大学, 化学生命学部, 助教 (90909657)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ソフトクリスタル / 弾性結晶 / 塑性結晶 / 柔軟性制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
結晶材料の柔軟性を向上及び制御することは、フレキシブルな光学デバイスへの応用などにおいて重要な研究課題である。本研究では、分子集積を保持したまま分子間相互作用や結合強度を緻密に変調させることによって結晶の柔軟性の精密制御が可能か検討した。アルキル長鎖化合物にX=F, Cl, Br, Iを導入することで、アルキル鎖のファスナー効果を利用し集積構造は保持したまま、ハロゲン間相互作用を変調させた。それぞれの化合物の単結晶構造解析に成功した。いずれの化合物においてもアルキル鎖によるファスナー効果が観測されたがハロゲン間の相互作用の様式における規則性はほとんど見られなかった。しかし、いずれの結晶においても結晶の柔軟な挙動が観測された。その機械的強度をナノインデンテーションにより評価した所、Fを導入したアルキル長鎖化合物において顕著な柔軟性が観測され、結晶柔軟性の制御に併せて、極めて柔軟な機械的特性を有する分子結晶の合成に成功した。またハロゲン基による結晶柔軟性の変調に加えて、アルキル鎖超依存による機械的強度の変調を行った。その3点試験による評価の結果、確かに柔軟性の鎖長依存性が観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度は、ハロゲン基を導入した化合物の単結晶構造解析に成功したのに加え、アルキル鎖超依存による結晶の機械的強度の変調を行った。その3点試験による評価の結果、確かに柔軟性の鎖長依存性が観測された。従って、ハロゲン基依存および鎖長依存の両分子設計からのアプローチにより更なる精密な柔軟性制御が期待できる。これら鎖長依存に関して単結晶構造解析および分子間相互作用計算により更なる知見を得る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ハロゲン基依存による結晶の機械的柔軟性が変化することが明らかとなったため、次の段階として鎖長依存性に着目する。鎖長依存性による集積構造の安定化に着目することで、結晶の機械的柔軟性の更なる精密制御を目指す。
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Causes of Carryover |
良好な進捗状況により、測定に時間を費やしたため、合成のための試薬代を抑えられた。 次年度は、アルキル長鎖化合物合成のために試薬代に使用する予定である。
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Research Products
(8 results)