2023 Fiscal Year Research-status Report
白金をテンプレートとした非対称ポルフィリノイドの精密合成法開発と機能化
Project/Area Number |
22K14701
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
井上 僚 関西学院大学, 生命環境学部, 助教 (30844675)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ポルフィリン / 白金錯体 / 円偏光燐光 / 脱水芳香族化 / 鋳型合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主として以下三点の研究で大きな進展があった。 1.白金を鋳型とすることで進行する脱水的芳香環化反応によるABCD ポルフィリン合成法に関する論文がChem. Eur. J. 2023, 29, e202301717.に掲載された。 2.我々が開発した(含ヘテロ)トリプチセン前駆体のためのカギ原料とアリールアセチレンとのCo触媒 [4+2]環化付加反応を利用した、新規ジアリールトリプチセンの合成法を開発することに成功した。得られた化合物は円偏光蛍光を示し、トリプチセンにおけるキラルスルースペース共役と物性に関する知見を得ることができた。当該論文はBull. Chem. Soc. Jpn. 2023, 96(8), 775-777 (DOI: 10.1246/bcsj.20230112) に掲載された。 3.上記 ABCDポルフィリン合成法では、ABCDヒドロキシポルフィリンが中間体として得られる。本年度はこのヒドロキシ基を触媒反応活性なOTfへと変換し、鈴木宮浦反応を用いることでABCD-ABCDポルフィリンダイマーの合成・単離に成功した。得られた化合物の一つは光学活性であり、キラルカラムによる光学分割と、単結晶X線構造解析による絶対構造の決定を行うことができた。さらに得られた光学活性な化合物は、優れた円偏光リン光特性を示すことを明らかとした。現在、当該論文の投稿を検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該研究計画通りに研究が進行していることに加えて、光学活性ABCDポルフィリンダイマーが優れた円偏光リン光特性を発現することを見出したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はABCDポルフィリンの合成法を基に、光学活性なABCDポルフィリンを3量体、4量体5量体へとオリゴマー化することにより、円偏光リン光特性のさらなる高効率化を試みる。
|
Causes of Carryover |
民間財団の助成金から消耗品費を支出することができたため、次年度使用が生じた。 次年度に繰り越した科研費は、当該研究発表のための旅費や消耗品費に充てる。
|