2022 Fiscal Year Research-status Report
環状分子ピラー[6]アレーンの高分子化と環骨格の協同効果に基づく機能創出
Project/Area Number |
22K14725
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大谷 俊介 京都大学, 工学研究科, 助教 (90911503)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ホスト-ゲスト化学 / 高分子化学 / 環状分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
環状化合物はホスト分子として働き、空孔内部にゲスト分子を取り込むことができるため、選択的な物質の貯蔵や分離・精製に利用することができる。これらの環状化合物は、高分子化により成形加工性・安定性の向上が達成された一方、高分子鎖上で環骨格が連続することで、新たな機能性や性質を示した例は極めて少ない。これは、高分子化された環状化合物の多くが、回転可能な単結合によって連結されるため、環構造の向きや位置関係が定まらず、それぞれが独立して作用したことに由来する。本研究では、環構造を二本の高分子鎖で連結することで回転を抑制し、環構造の向きが揃った状態で固定することで、低分子では見られない、高分子に特有の性質を見出す(高分子効果)。例えば、複数の環がゲスト分子の包接に関与することで、ホスト-ゲスト間の相互作用が増強されるといった『協同効果』の発現が期待される。本研究は、環状ホスト分子の『協同性』に基づいた、新たな機能性・性質の獲得を目指すものである。本年度はモノマー及び高分子化のためのモデル反応の条件検討に取り組んだ。目的の高分子を合成に必要な重合官能基を持った環状分子の合成に成功し、良好な収率で得られることがわかった。また、モデル反応の条件検討を行うのに十分な量を合成することにも成功した。モデル反応としては芳香族求電子置換反応を検討した。もう一方の反応基質としては、カテコール、1,2-フェニレンジアミン、1,2-ベンゼンジチオールを選択し、その反応条件の最適化に取り組んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定では本年中に高分子合成に進む予定であったが、モデル反応における反応性が低く、モノマーの再設計を余儀なくされた。原因としては、モノマーの立体障害と電子不足性の欠如が考えられたため、新たにモノマーを再設計し、現在その合成に取り組んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでは共有結合により高分子化を行うことを検討していたが、上記の理由により反応性に乏しいと予想された。そのため、方針を転換し、金属結合やイオン性相互作用を用いて高分子化を行う方法を検討している。
|
Causes of Carryover |
次年度以降も引き続き合成に取り組むため、試薬代や合成に必要な消耗品がかさむと予想されるため。
|