2022 Fiscal Year Research-status Report
環境応答性ゲル微粒子乳化剤の創成と長期安定化エマルションへの応用
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22K14734
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
渡邊 拓巳 信州大学, 繊維学部, 研究員 (20880678)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳化重合 / ゲル微粒子 / ナノコンポジット |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲル微粒子存在下でスチレン等の疎水性モノマーを用いた乳化重合を行うと、ナノコンポジット型のゲル微粒子が得られる。しかしながら、ゲル微粒子内部に無秩序に疎水性部位を導入するとゲル微粒子の変形性が著しく低下してしまう事が課題であった。本年度は、変形性と疎水性を互いに兼ね備えたナノコンポジット型のゲル微粒子を得るため、疎水性ドメイン間に空隙が存在する階層型のナノコンポジットゲル微粒子の合成を試みた。 種となるゲル微粒子は水系の沈殿重合により合成した。この際、モノマーを多段階で重合系内に添加する事で、カルボキシ基が層状に固定化された多層型ゲル微粒子を得た。重合時のモノマー濃度、コモノマー種、重合時間等の重合パラメータを検討する事で、多層型ゲル微粒子が得られるプロトコルを確立した。水系沈殿重合時の主モノマーとコモノマー間の反応性の違いを活用する事で、各シェル層内部におけるカルボキシ基の空間分布を変化させる事が可能であった。 得られた多層型ゲル微粒子存在下でスチレン及びその誘導体をモノマーに選択した乳化重合を実施した。重合時のモノマー濃度を調整する事で、スチレン及びスチレン誘導体モノマーを用い、分散安定なナノコンポジットゲル微粒子分散液を得た。得られた微粒子の超薄切片観察を行い、ポリスチレン等の疎水性ドメインがゲル微粒子内部に層状に固定化された事を確認した。また、乾燥状態の電子顕微鏡観察より、得られたナノコンポジットゲル微粒子が変形可能である事も確認し、目的のナノコンポジットゲル微粒子を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、柔らかさと疎水性を兼ね備えたゲル微粒子の合成法を初年度に確立しており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた微粒子の乳化機能を最大化するため、ナノコンポジットゲル微粒子の界面活性を定量的に評価する手法を確立する。また、適宜微粒子の合成に立ち返り、水油界面における乳化剤特性を最大化するためのナノコンポジット構造を探索する。上記検討により、目的である環境応答性ゲル微粒子乳化剤を実現する。
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Causes of Carryover |
当該年度は変形可能な微粒子の合成を実現し、その微粒子ナノ構造の制御にも着手した。想定したよりも多様な微粒子ライブラリの充実が実現出来たため、微粒子合成の割合を増やし、予定していた微粒子界面挙動の評価を次年度に行うよう計画を修正した。それに伴い使用予定であった一部経費の使用計画を変更した。
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