2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating dynamics of molecular orientation of chiral liquid crystals under spatio-temporal confinement
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22K14737
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
久野 恭平 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (30822845)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高分子微粒子 / 分子配向 / 光学機能材料 / 重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,新規な3次元分子配向制御技術を構築することを目的とする。特に,重合空間を制御することで新奇な分子配向性材料を創製し,特異な分子配向と機能の関係を探求するとともに,配向制御メカニズムを詳らかにすることを目指している。これまで微粒子成形や凹凸基板などの静的な制限場での閉じ込め効果により,液晶などの自己組織化材料の3次元分子配向制御が試みられてきたが,制限場の形状および材料性状により一意的に分子配向が決定されることが一般的である。本研究では,重合過程において制限場が時々刻々と変化する重合系に着目し,重合場の時空間変化による分子配向構造への影響について検討する。特に,キラル液晶と呼ばれるらせん状分子配向に起因したナノ周期構造を自発的に形成する材料を用いることで,重合過程で形成され得る分子配向状態や最終的な配向構造を解析できるような材料系を設計した。 本年度は,分散重合を用いることでキラル液晶の微粒子合成を試みた。分散重合では,初期状態においてはモノマーや分散安定剤,重合開始剤は均一に溶解している。一方,重合の進行に伴い生成するポリマーは溶液中から析出し,最終的にポリマー微粒子が得られる。設計した材料系で分散重合を行い反応時間に伴う変化を観察し微粒子形状と分子配向構造の関係について検討した。適切な溶媒選択をすることで数マイクロメートル程度のポリマー微粒子が安定的に生成することが明らかとなった。詳細な光学特性を解析したところ,微粒子集合体ではなく,単一の微粒子からも,ナノ周期構造に由来する明確な反射色が観察されたことから,微粒子内部で精緻な分子配向構造が形成されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分散重合の重合過程において,分子配向が制御されたキラル液晶ポリマー微粒子が安定的に生成し,その粒径は数マイクロメートル程度かつ極めて単分散であることが明らかとなるとともに,重合過程における経時的な分子配向構造についても知見が蓄積できたため,研究はおおむね順調に進展している。さらに,微粒子の光学機能の解析も順調に進行しており,高い特性を示す反射型光学機能材料としての展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,動的光散乱法や透過型電子顕微鏡,偏光顕微鏡などを用いて分子配向構造変化プロセスのさらなる解析を行うことで,分散重合過程における分子配向メカニズムを解明する。さらに,そのメカニズムを基に微粒子形状や分子配向の制御,架橋微粒子の展開などを目指す。また,特異な反射型光学機能の特性を測定・解析するとともに,液晶に由来する外部刺激応答性も検討することで,分子配向性微粒子の応答機能についても検討を進める。
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Causes of Carryover |
現有設備で測定可能なデータに対して画像解析などを組み合わせることで,当初予定していた測定装置や依頼分析を使用せずとも効果的に研究が推進できたことに加えて,効率的に大量の微粒子合成に成功したため機能解析が容易になり,次年度使用額が生じた。次年度以降は,当初の研究計画に沿って使用する予定だが,次年度使用額をあわせて使用することで,合成・精製設備や物性解析システムを高度化することで,より円滑な研究進展が可能である。さらなる研究促進のため,情報収集や成果発表のため国際会議参加費に充てる予定である。
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Research Products
(22 results)