2022 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of mixed anion compounds by using metal hydroxide nanoparticles
Project/Area Number |
22K14753
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
樽谷 直紀 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (60806199)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 金属水酸化物塩 / ナノ粒子 / 複合アニオン化合物 / 有機-無機ハイブリッド材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
単一化合物中に複数のアニオン種を含有する複合アニオン化合物は、既存の酸化物などを凌駕する性能を発揮することから、合成と機能の開拓が進められている。しかし、これまでの反応性ガスや固体反応源を用いる合成手法では3種以上のアニオンを複合化することは困難であった。本研究では、申請者が独自に発見した“ナノ粒子を場とした有機分子と無機水酸化物の協奏反応”を利用して、3種以上のアニオンからなる複合アニオン化合物作製をめざす。この特異な協奏反応はナノ粒子でのみ認められている。熱分析および生成気体の分析によって、協奏反応のメカニズム解明を模索した。金属水酸化物と有機分子は静電的、あるいは配位的に複合できることが知られているが、配位結合を介した複合化、すなわち金属水酸化物塩においてのみ有機分子の分解による反応ガス種生成と無機水酸化物の脱水が同時に進行することが明らかになった。この金属水酸化物塩の分解・脱水温度は水酸化物あるいは有機分子それぞれが単独の場合よりも高温であり、複合化による協奏反応が示唆された。種々の金属水酸化物カルボキシレートを中心として、この協奏反応による化合物生成を試みた。金属カチオンとしては第一遷移元素の多くが利用可能であり、また一方でカルボキシレートは分子構造によらず様々な種を導入できることが明らかになった。これらを熱処理することで、様々な金属種からなるニクトゲン化物、カルコゲン化物、ハロゲン化物の単アニオン化合物が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は当初計画していた「結晶相変化の機構解明」、「有機分子の構造が生成相に与える影響」を明らかにできたため、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は「有機分子の構造が生成相に与える影響」に関して熱処理中のその場分光測定によって有機分子の結合状態の変化を追求する。また「複数分子の導入と複合アニオン化合物への展開」を進める。具体的には下記の通りである。 代表者の過去の研究でカルボン酸分子は水酸化物ナノ粒子の合成に有用な保護分子であることが判明している。カルボン酸は様々な構造の分子が広く市販されており、異なる骨格構造・官能基(アニオン供給源)を持った分子が選択できる。導入アニオンは価数、イオン半径の観点から選択する。例えばN3- (146 pm)、O2- (138 pm)、 F- (131 pm)の組み合わせであれば価数は異なるがイオン半径は近しく、Cl- (181 pm)、Br- (196 pm)、 I- (220 pm) の組み合わせであれば価数は同じであるがイオン半径に差異がある。どういったアニオンが導入できるかについて、ここまでの研究で明らかにしている反応メカニズムと併せてデータを蓄積し、複合アニオン化合物の材料設計に新たな指針を提供する。
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Causes of Carryover |
研究進展が順調であったため前倒し支払請求をした。その残額が次年度使用額として発生している。この金額を含めて当初計画に則って研究を遂行する。
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Research Products
(9 results)