2022 Fiscal Year Research-status Report
pブロック元素の孤立電子対による非対称な配位多面体を活用した誘電材料の開拓
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22K14756
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
下野 聖矢 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 講師 (20848270)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 水熱合成 / 誘電物性 / 結晶構造解析 / 放射光回折 / 中性子回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
対称中心を持たない結晶構造(非対称中心構造)を持つ物質は,強誘電性,圧電性,非線形光学特性やマルチフェロイックなどの特有の物理的物性を発現する可能性を秘めているため,結晶構造における対称中心の有無は新規機能材料の合成の指針として大変重要である。本研究では,孤立電子対を有する三価のアンチモンやビスマスのpブロック元素と配位子が形成する配位多面体の非対称性に着目した物質の合成および誘電性に関する物性の発現・解明を目指す。 本年度は、室温で対称中心を持たないCo3Sb4O6F6のSbをBiで置換したCo3(Sb1-xBix)4O6F6、およびCoをNi、Fe、Znで置換したA3Sb4O6F6(A=Ni, Fe, Zn)を水熱合成で合成し、その結晶構造について調べた。Biを置換した系では、Co3Sb4O6F6で誘電率の異常を伴う構造相転移の温度がBiの置換量増加に伴い、上昇することが分かった。加えて、相転移後の結晶構造も、CoSb4O6F6とは異なる結晶構造であることが示唆された。さらに、A=Zn、Feにおいても低温で構造相転移が生じることが分かった。現在、回折データを用いた結晶構造解析を行い、結晶構造の情報から、相転移前後のSbやBiが形成する多面体の変化について調べている。 今後は、誘電率測定の結果および放射光回折データから得た結晶構造の情報を比較することで、SbやBiが誘電特性に与える影響について明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、主に水熱合成により、Co3Sb4O6F6のSbをBiで置換したCo3(Sb1-xBix)4O6F6、およびCoをNi、Fe、Znで置換したA3Sb4O6F6(A=Ni, Fe, Zn)の作製し、放射光粉末回折実験を行い、回折データを用いて構造解析を進めてきた。回折データの温度依存性および誘電特性の結果から、低温で誘電率の異常を伴う構造相転移が生じることが分かった。特に、SbをBiで置換した系では、室温付近まで相転移温度を上昇させることに成功した。故に、研究がおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、水熱合成で得られた試料の放射光および中性子回折(粉末回折パターンの温度変化)および誘電特性、磁気特性に関する測定を行っていく。結晶構造の情報と誘電特性・磁気特性の結果を比較することで、SbとBiのpブロック元素や配位子の相転移前後の変位の情報から誘電特性が変化する起源について明らかにする。そして、本研究の最終目標である孤立電子対を有する三価のアンチモンやビスマスのpブロック元素と配位子が形成する配位多面体の非対称性に着目した物質の合成および誘電性に関する物性の発現・解明を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度は、国際会議にて本研究成果を発表する予定であり、参加するために旅費とその他経費を使用する。 物品費は、水熱合成で使用する電気炉を次年度に新たに購入する。
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Research Products
(4 results)