2023 Fiscal Year Annual Research Report
高出力型Mg2+電池に適した新規異種イオン混合型電解液の開発
Project/Area Number |
22K14759
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
近岡 優 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00908626)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電解液 / Mg2+電池 / ポストLi+電池 / 溶液構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、室温下での高速充放電(2時間程度)を可能とするMg2+電池の創製に向けた新規異種イオン混合型電解液の開発を目指した。資源性の観点からMg2+電池が注目される中、室温下での高速充放電を実現するためには、電極材料の開発だけでなく新規電解液の開発も求められる。特に、Li+電池系で電極反応高速化に有効であった「キャリアイオン種(Mg2+)とは異なるイオン種を混合した異種イオン混合型電解液」として、4級アンモニウム塩(SBPBF4)やイオン液体(EMIBF4)を混合した電解液設計に着目した。その結果、BF4アニオンを用いた異種イオン混合型電解液では、他のアニオン (PF6やTFSA)を混合した系よりも正極反応速度が向上し、150mAh g-1の容量発現を実現するための充放電時間を従来系の20時間(0.05C-rate)から2時間程度 (0.5C-rate)まで短縮することに成功した。さらに、Raman分光測定と全散乱X線回折、MD simulationを組み合わせた精密な溶液構造解析からBF4アニオンを添加した異種イオン混合型電解液では、Mg2+の周りにBF4が複数配位し、アニオンチャージかつコンパクトな溶媒和構造となっていた。上記の結果を踏まえ、異種イオン混合系ではMgが正極界面に接近しやすくなり、表面電場の補助を受けやすくなることで Mg2+が正極に挿入される際の脱溶媒和・脱アニオンが高速化したと考察した。本研究で開発した異種イオン混合型電解液はMg2+電池に適した正極反応を高速化しただけでなく、他のポストLi+電池(Ca2+, Al3+等)においても同様の傾向を見出しつつあり、社会的・学術的な波及効果が大きいと考える。
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Research Products
(3 results)