2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K14760
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 晃 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (00756314)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水熱電気化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、通常とは異なる、100℃以上の水熱環境下で電気化学反応を推進する。本研究を実行するため、当該環境で作動可能なリアクター(水熱電気化学フローリアクター)を、東京工業大学地球生命研究所(ELSI)と共同で開発した。こちらはこれまで報告されている水熱電気化学リアクターとは異なり、参照極を備えた三電極系であるため、精密な電位制御を可能としている。さらに、フロー系を採用したことにより、温度と圧力の独立制御を達成した。 こちらのリアクターを用いて、水熱電析法により酸化マンガン系酸素発生電極、および硫化モリブデン系二酸化炭素還元電極の合成を行った。前者においては、電析温度を変えることで結晶性ならびに形態が、圧力を変えることで格子定数が変化することが判明した。また、高温(160℃)で電析した酸化マンガンはより低い温度で電析したものと比較して酸性条件下で高い酸素発生能を示した。また、水熱電析した硫化モリブデンに関して、電析圧力を変えることで二酸化炭素還元生成物の選択性が変化することが分かった。これらの成果は、温度/圧力可変の当リアクターを用いることで、より高活性な触媒を合成できる可能性を示すものである。 一方、上記のリアクターは一室系であり、対極の影響があるために水熱下での直接的な電気化学的物質変換を推進するのは不向きである。そこで、作用極と対極が耐熱性プロトン伝導性膜で隔離された新たなリアクターを開発し、そちらを用いて水熱下での電気化学的二酸化炭素還元を試みた。その結果、100℃で反応を行った際には、より低い温度ではみられなかった炭素を2つ含む化合物が生成された。100℃以上の水中での電気化学的二酸化炭素変換は本研究が初の試みであり、今後本研究を推進していくことで、効率的な二酸化炭素変換系を構築できるだけでなく、水熱下での電気化学反応という新たな学理が構築できると期待される。
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Research Products
(5 results)